零の旋律 | ナノ

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 夢華は呆然としている絡の間合いを詰める。
 そして夢華はその勢いを利用して絡を壁に押しつけた。
 僅かな衝撃が絡を襲う。

「自暴自棄になったら駄目だよ。大切なら、君にとって大切な親友なら取り戻さなきゃ。親友が傍らにいた過去を。まだ彼は生きている。死んでいない。生きているなら仲良くならなきゃ」

 赤と白が交互に、そして同時に映る。赤い瞳、白い瞳、赤い薔薇、白い髪。
 夢華の言葉一つ一つに心を揺れ動かされる。
 絡は肩部分の服を夢華に掴まれている。振り払おうとすれば、普段の烙であれば可能だった。けれど今の烙にそのような力はない。夢華は烙が大人しくなったのを感じ、眼帯を再びつける。一瞬何かが変わった感覚に囚われたが、それが一体何かを烙には理解出来なかった。
 夢華は語る。

「生きていれば話せるんだから」

 死んでしまったら、どんなに嘆いても取り戻せない。
 死んでしまったら、どんなに自分を責めても帰ってなど来ない。

 ――大切だと何故認めない

 死んだあとに失った大きさを知っても、取り戻せない。
 生きているうちに大切だと認めたら可能性はある。

「僕は知っている、大切だと心の中では認めているのに、それを認めないで大切な存在を失って自暴自棄になった存在を」

 ――失った後に大切だと認めても、大切な存在は帰っては来ない
 だから、自暴自棄になどならないで、大切な親友と再び


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