零の旋律 | ナノ

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「それがお前の殺人罪の理由……」
「先に言っとくよ、君たちに。このことは君たちの胸の奥底にしまっておいてね、決して白き断罪には話さないでね、特に絡には。……お願いだから」

 いくら絡が理由を求めてこようと斎は固くなに口を閉ざした。
 誰にも教えることなく今まで貫き通した。

「俺に、人の過去を口外する趣味はないよ」

 篝火は斎の過去を、殺人の理由に蓋を閉めた。

「お前は俺と違って、大切な人が生きているんだしな」

 それはどういう意味? とは誰も聞かなかった。
 別に過去を暴露する為の場ではない、今は。

「私にもそんな趣味はないから安心しな」

 過去を暴いてそれを誰かに言いふらして何になる。何もならない。唯、斎を傷つけるだけだ。

「いわなくてもわかっているだろうが、俺は別に代価を貰わない限りは特に自ら進んで情報を公開するような真似はしない。した所でなんの利益につながることもないしな」
「泉らしいね」

 唯、一人、朔夜だけは黙って斎を見ていた。
 それを黙っている承諾だと受け止めた。

「さて、斎はそろそろ休みな、明日は年齢詐欺の巣窟にいくんだしな」
「そうだね、あの雛罌粟を筆頭とする第二の街。別名年齢詐欺の巣窟に行くんだし、俺も体力つけなきゃね、御休み」

 斎はそのまま寝ようと目を瞑る。
 そこに傷の負担にならないように薄手のタオルケットが一枚かけられる。かけたのは朔夜だった。

「ありがとー朔」
「厭味のない斎はなんだか気持ち悪いからさっさとよくなれよ」
「そうするわ」
「明日は篝火が頑張って怪我人のお前を運んでくれるよ」
「あー楽そうでいいわ、御休み」
「おう」


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