零の旋律 | ナノ

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 ある程度作業した後、無事だった朔夜の家で休息を取ることにした。帰宅すると、ソファーで寝ている泉と、その隣に椅子に座っている泉がいた。部屋の電気をつけていなかったため、薄暗い部屋の中に真っ黒に覆われた人物がいるのは中々にホラーだった。

「電気ぐらいつけたらどうだ」

 そこで篝火は電気をつける。

「郁が寝るのに明るいかなと思ったから消しただけだ。明日は年齢詐欺の巣窟に移動するんだな」
「うわぁ、何処から聞いたんだよ、相変わらず恐ろしい情報収集能力だよね」
「それくらいの情報が耳に入っていなければ情報屋は務まらないし、恨みを持つものから寝首を掻かれるさ」

 泉は目を瞑り、腕を組みながら椅子に座ったまま動かない。
 普段なら睡眠をとっている時間から行動しているから眠いのだろうか。

「それもそうか」
「篝火、今夜の飯はなんだ?」
「自分でたまには作ればいいのに。買い置きがあるのはパンだから問答無用で夕飯はパン」
「……家にいるときは毎日作っている」
「そりゃそうか」

 篝火は苦笑しながら、台所へ向かう。
 家が本当に殆ど壊れていなくて良かったと心底思う。

「じゃあちょっと待っていな。今直用意する」

 そうして、灰色の空が変わることなく時間だけが過ぎていき、彼らは就寝する。 
 明日の朝に備えて。


+++

 白き断罪、絡の自室。
 絡は瞑想していた。そうしてどれくらいの時間がたったことだろうか。
 絡は立ち上がり、刀を手に取る。
 白いコートは脱ぐ。いつも白き断罪の服の下に来ている黒い服が現れる。
 流石にズボンはそのままでいくため上着だけ変えた。
 白いコートはあそこに向かうのには不便だから。絡は自室の窓を開ける。
 由蘭の術で造られた場所と言っても、一歩由蘭の結界の外にでればそこは廃墟。
 絡は自室の窓から飛び降りる、高さは大体六メートル。風属性の術を付加して、衝撃を和らげる。
 地面に着地をしてから、絡は仲間に見つからないように抜き足差し足で深夜の第一の街に向かう。
 目指すは会うべき人と再開する為。

 全ては裏切った理由を知る為


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