W 「そうだな、罪人の牢獄に来ている白き断罪の部隊名称は第三部隊“白蓮”。隊長は白圭が勤めている」 「ちょっとまって、第三部隊“白蓮”ってなんや」 「口挟むの早い。斎、お前が教えてやれ」 「なんで俺……が、面倒なんだけどなぁ」 やれやれと言った風で肩をすくめながら、流石かと斎は表情には出さないが感心する。 自分が説明するということは、朔夜と篝火にしか昔白き断罪に所属していたことを話していない、そのことを知っていたということ。恐らくは白き断罪が来る前から。自分たちが害ある存在かどうか泉は人知れず調べていたのだろう。 「白き断罪は全部で四部隊から構成される政府直轄組織なんだ。まぁ白き断罪って組織名を知っている人はそこまで多くはないけれど。……ってか基本的に政府直轄だから、政府に属しているかその辺諸々の関係者くらいしか知らないはずなんだけどなぁ、一応。で白蓮ってのは第三部隊の名称みたいなものだよ。他の部隊にも其々あるよ」 「ほへー詳しいんな自分」 「榴華とは違うから」 「うーむぅ」 榴華は顎に手を当てて考えこむ素振りを見せる。 それは素振りであって、実際には続きはと請求している。 そこから先は泉が喋る。それは斎の話す内容に不安があるのではなく、斎が知らない人物がいるからだ。斎が知っている人物しかいないのであれば泉は補足するだけだっただろう。 「第三部隊隊長白圭、部下として由蘭、烙、砌は大分前から白き断罪に身を置いている」 「それだけなん?」 「いや、他に今日見た限りじゃ、想思と夢華がいたな。他に舞と焔が第三部隊に所属している」 「流石やなぁ……自分がしらん名前ばかりやわ」 榴華の中でよくわからない人ランキング上位に泉がランクインした。 勿論トップの栄冠に輝いているのは銀髪。未来永劫トップの座は榴華の中で変わらないだろう。 「後……」 僅かに泉は言い淀む。 「どうしたん?」 「情報が相手に漏れないように……暗躍している奴がいる」 「!?」 敏腕なる実力を保有し、知らない情報は存在しないのでとさえ思わせる泉に、情報が伝わらないように暗躍することが出来る人物がいることに驚きを榴華は隠せなかった。 否、榴華だけではなくこの場でその話を聞いている者も同様だ。 そこで榴華は気がつく 伝わらない程の腕前を持ち暗躍をしているのではなく 泉に情報が伝わらないように暗躍しているということに。 そうでなければ泉が知らないはずがないのだという確信があったから。 ――この地に何をしにきた 「意図的に泉さんに情報が伝わらないように正体がばれないように暗躍しているってことか」 素の口調に戻る榴華。 それをあえて泉は聞かなかったこととする。 「そういうことだ、まぁ大体そいつの正体はわかっているけどな」 「誰だ?」 「秘密だ。確実性のないことを話すのは商売に反する。それに本当にそいつなら、俺が一発ぶん殴るだけだ」 一発は痛いだろうなと思いながら、それは敵にしては甘くないかと榴華は勘ぐる。そして泉にそう言わせる相手が誰なのか気になった。 [*前] | [次#] TOP |