零の旋律 | ナノ

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「邪魔する者全て敵だ。例えお前がなんであれ、その後がどうなれ」
「……その狭い世界は何れ崩壊するよ、その時君の心は耐えきれなくなる」
「何見透かす様なこと」

 泉は突然現れたどの白き断罪よりも白い夢華を睨む。

「見透かしているわけじゃない、そう感じ取る……だけ」
「……」
「僕は唯、感じ取るだけだよ」

 瞼を閉じる。長いまつ毛が覆う。
 幻想的なその風貌。真白な髪は癖があるのか盛り上がっている。薔薇の髪飾りを左につけている。
 真白な服。真白な上着。ラインには暗い真っ赤。白き断罪のマークの一つである十字架をモチーフにした紋様が入った布はオレンジ色をぶら下げている。
 瞳も白く、睫毛も真白。右目に白い眼帯をしている。肌は透き通るように白く。
 それは全身から儚さを醸し出しているよう。

「死にたくないならそこをどけ(あいつは……)」

 泉はそういいながらも、夢華の言葉が当たっていることを感じていた。
 自分の世界に映るのは唯二人だけ。
 それを、自分の世界を傷つける者も壊すものも決して許さない。
 傷つける者がいるなら、壊すものがいるなら
 原因分子を消し去る。
 だから、自分の世界が壊れたときその時は――

「……って」

 泉は唖然とする。この光景は? と。

「君の心の支えは大切な人。真っ黒なお兄さん」
「……敵に張り付いてくるってさ……大丈夫か?」

 思わず突っ込みを入れるほど。
 夢華は泉にピッタリと張り付いた。
 そして自分より身長が高い泉を見上げるようにして顔を近づけている。

「……おい」
「はぁ」
「またかよ」

 三つの呆れる声が聞こえる。そこで首を傾げるのは白圭。

「なんで溜息三つ?」

 自分と想思と、あと一つは誰だ、そう思い見回すと夢華を知った風でいる金髪の髪に黄緑色のバンダナの青年がいた。

「あの罪人は夢華を知っているのか?」

 疑問の声を漏らす。


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