X +++ ――ダメだよ、これ以上自分を傷つけた。傷つくのは自分ではない誰か 真白い華は降り立つ 地上の現実へと 「傷ついた分だけ自分ではない誰かが傷つく。心の傷のことだよ?」 想思と白圭を庇うように――実際には白圭はまだ戦える状況ではあったがそれでも。 想思にいたっては武器として使っている髪の毛が大分短くなっている。 それでの防御は厳しいだろう。いくら髪の毛は伸縮自在といっても無限ではない。だからこそ、想思は髪の毛を自由に扱えるように伸ばしていた。 真白な華は舞い降りる 上から飛び降りてきたその姿は他のどの白き断罪よりも白だった。 「どうしてここに……!?」 その様子に驚くのは白き断罪と篝火。 真白な少年は刃のついたトンファーを両手に構えている。 想思と白圭の前、つまり泉の前に立つ。 「……俺の邪魔をするな」 「傷ついている心を怒りへ還るのもどうかと思うけど」 「……何を言っている?」 「君の世界は狭いんだね。他の誰をも見ようとしない……(その瞳は彼と同じ)」 真白な少年は今にも散りそうなほどに、儚い眼差しを泉へ向ける。 「夢華……どうしてここに、今回お前は来ないんじゃなかったの?」 疑問の声を上げるのは想思。 今回の第一の街を滅ぼすのに動いたのは自分と白圭と由蘭と絡。 真白な少年――夢華(むか)は背後にいる想思を振り返ることなく、真っ直ぐに泉を見据えている。 「君らに死なれたら困るか……」 「夢華……」 ――存在しようと存在してないと変わらない [*前] | [次#] TOP |