T そして、棒はそのまま鞭へと変わり左右に泉はそのまま振り払う 「!?」 白圭は慌てて後方へジャンプして避ける。 しかし、白圭は失念していた。 あの時由蘭の攻撃をはじいたその鞭は長さが変化していたことを。 避けきったつもりだった。しかし、泉の攻撃は届いていた。 鞭に足を引っ張られ、そのまま建物の壁に勢いよく激突する。 大剣は宙を飛んで地面に勢いよく突き刺さる。 白圭の鈍い悲鳴が聞こえる。 「くっ……」 全身に走る激痛は間隔を麻痺させるようだった。 無理な姿勢のまま壁に激突させられたため、受け身をまともにとれなかった。 だが、もたもたはしていられない。 ぼやける視界に泉が近づいてくるのが見えたからだ。 余裕の笑みを浮かべている。 ゆったりとした足取りで近づいてくる。 ――あははっ、血 ここで倒れるわけにはいかない。 あの時の大切な存在を失った後悔を広げてはいけない。 だから、独断で罪人の牢獄に来た。 他の白き断罪を裏切って。同志とともに。仲間とともに。 白圭は立ち上がる。 信じるのは―― 泉の鞭はいつの間にか、槍のように鋭くとがった形状へと変化していた。 「……ははっ、それは反則だ」 こちらの手には今や武器は何もない。 何も。 唯一の武器である大剣は、泉の近くに落ちている。地面に突き刺さっている。取りに行こうとする間に殺されるであろう。 「どうしたものか」 まさか罪人の牢獄にこれほどの相手がいるとは想像していなかった。そして、そのような人物を放置している等、どういう神経をしているのか疑う。 否、これは完璧自分の失態。甘く見すぎていたこと。 どうせなら、部隊全員を連れて挑むべきだった。 舐めていた。 一瞬の判断ミスが、全ての敗因へとつながるというのに。愚かだと自嘲する。 [*前] | [次#] TOP |