第四話:白の驕り +++ 「泉、と聞いたが共同戦線を張ることもなく、私と一騎打ちでもするか」 斎に続いて郁が下がったことを確認した白圭は口を開く。 僅かに苛立ちを見せる。 舐められたものだと。 これでも、白き断罪の一部隊を纏め上げる隊長である自分を泉は見下すとでもいうのかというばかりに。 「興味はねぇよ。確か、白き断罪の隊長白圭だったか」 「ほう、私をご存じだったか私は君を知らないが」 「別に知らなくていいし、知る必要もない」 不気味な程に爽やかに泉は微笑んだ。 斎と郁に悪寒が走る。 戦闘の邪魔にならないようにではなく、その場から逃げるように遠ざかった。 冷や汗が流れる。 もしこの場が朔夜の自宅か何処かなら、泉が視界に映らないように二人は逃げた。しかし今この場には白き断罪がいる。視界に映らないように逃げるわけにはいかなかった。 「ほう。だが、私にも目的がある、目的を果たす為に死んで頂こう」 「まぁ、どちらでも構わないさ。殺すだけ、だから」 泉は鞭を振り回す孤を描くようにしなやかに鋭利に。 「いきなりかっ」 相手の武器が鞭である以上距離をとっては、こちらが不利になるだけ。 ならば、間合いを開けることなく、相手の懐に近づき斬るだけ。 白圭は一気に近づく。 「中距離の相手が私に近づきすぎだ」 白圭は知らなかった。 知るはずもなかった。今日会ったばかりの初対面の相手の戦法など。 「ふん」 泉は鞭で白圭の大剣をカードする。 「!?」 鞭はいつの間にか、棒に代わっていた。 真っ黒の棒は白圭の真白な大剣とぶつかる。 「残念」 泉は大剣を受け流す動作で、右足を出し体重を前方にかけ、棒を前へ勢いをつけて振り下ろす。 白圭は、受け流された大剣の流れに逆らうことなくそのまま横に移動する。 そうしなければ、重心をかけられた棒に殴られたことだろう。 破壊力は結構なものであろう、鈍い音が地面を叩く。 [*前] | [次#] TOP |