銀魂 | ナノ







「…おいおい、なんなんですかこれは」


万事屋に戻り、新八君と神楽ちゃんとでお祝いの準備を済ませる。
銀さんはこのサプライズに只々びっくりしていて、机の真ん中にあるでかいバースデーケーキを見てぽかん、とアホっぽい表情を見せた。


「私達からバースデーのサプライズヨ!感謝するヨロシ!」


「この日の為に、色々準備してたんですよ」


期待通り(?)の銀さんの反応にご満悦気味の神楽ちゃん。
実はといえば一週間、いや二週間だったかな。銀さんは甘いものを口にしていない。
お金を貯めていた理由もあるけど、元々金欠気味だったから、結構前から準備をしておかないと間に合わなかった。
出費を少しでも抑える為にと、銀さんには今日まで甘いものは我慢してもらおうと内緒で決めた。
申し訳ない事をしたと罪悪感はあるけど、その分今日甘いものをたくさん食べれるのだから、よしとしておこう。
たくさんの甘いものの他に神楽ちゃんの酢昆布や、お妙さんが作った卵焼きもある。これは後でジャンケン大会になるだろうけど。

とにかく、今日は銀さんの誕生日を私達で祝うんだ。


「…銀さん、涙で前が見えないや」


「ふふ、喜んでもらえて嬉しい」


「ケーキとかどうしよう光って見えるんだけど。どうでもいいスポンジの部分も超神々しいよ生クリーム愛してる」


「銀さん、よだれよだれ」


だばだば出てるよだれを拭う事もせず目を輝かせる銀さん。今にもかぶりつきそう。
その反応の一つ一つが「嬉しい」と言ってくれているようで嬉しくなった。
片手にガッツポーズを作り、神楽ちゃんと新八君と目を合わせて笑う。


――さあ、思う存分食べて騒ぐぞ。


――――


「てめえ神楽!口に入れたもん出せ!それは俺んだ!!」


「やっぱ銀ちゃんばっか狡いアル!私にも少しちょうだいヨ!」


「お前の"少し"は"たくさん"の間違いなの!俺に用意したものだろうが!」


「ちょっと二人共落ち着いてくださいよ!仲良く分けあいましょう!」


クラッカーを鳴らし片付けないままいただきますをした数分後。
銀さんと神楽ちゃんは甘いものを口にしたままケーキの残りを奪い合ってる。
新八君は二人をなだめるもほぼ半分参戦しちゃってるし。

こうなるんじゃないかとは思ってたけど、本当になるなんて。
今日くらい、予想を裏切ってほしかったな。

万事屋らしいっちゃあ万事屋らしいんだけどね。


「新八君、まだ冷蔵庫にお菓子あるから取ってくるね!」


「…すみません、お願いします!」


神楽ちゃんと銀さんの喧嘩を止めようと、私は冷蔵庫に保存してあるお菓子を取りに行った。
ケーキではないけれど、他にも食べるものがあると分かれば二人共落ち着いてくれる筈だ。


―そして私がお菓子を用意していると、他にもお登勢さんやら桂さんやら諸々万事屋に来てもっと騒がしくなった。

皆「腹減ったからなんか食いに来た」とか言ってたけど、本当は銀さんをお祝いするために来てくれた事は直ぐに分かった。
もっとうるさくなったけど、銀さんは皆に愛されてる事がよく分かる。


―お登勢さんの怒鳴り声や私達の笑い声が万事屋の外に響き、声が止まないまま時計の針が零時をさし、日付は10月11日に変わった。


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