彼岸花のような君 2
「…ここか」
場所は夜兎工業高校。
汚え高校だな、門とか酷ェんだけど。
「阿伏兎、待っとけ」
ダチが言うには八回留年してる馬鹿。
そんな奴に負けたとか格好がつかねえよ。
俺がなぶり殺しにしてやる。
「…あ"?なんだお前」
「阿伏兎を出せ」
無理矢理乗り込んでそこらへんにいる男にガン飛ばした。
そうすれば案の定乗っかってきて睨み返してきた。男って単純だな。
「お前みたいな奴が阿伏兎さんに勝てるとでも思ってんのか?」
「しかも女」
周りにいる奴等は俺を見て笑ってる。
別に気にしねえけどよ、俺だって心はそんなに広くねえんだ。
「うるせえないいから出せよ下衆。勝てねえのはお前だろ」
「なんだと!?」
ちょっと挑発してみれば直ぐこれだ。馬鹿か?
単細胞な奴に俺が負けるとか…ふざけんなよ。
「はーいそこまで」
「!」
男の顔面を殴ろうと拳を握った所で、誰かが横槍してきた。
は?誰だよ。
「…なんだお前」
「君何してんの?ここ男子校」
こいつは阿伏兎じゃない。阿伏兎はもっと老けてる筈だ。
「阿伏兎って奴に喧嘩売りに来たんだよ。出しやがれこの野郎」
「その為に来たんだ?」
「いるんだろ早くしろ」
イライライライラ…喧嘩出来ねえのが腹立ってくる。
男って奴は本当面倒くさい。いちいちうるせえし女だからといって見下しやがって。
女をなめるなよ糞が。
「悪いけど阿伏兎はいないよ。サボリ」
「っじゃあ何処にいんだよ!」
「イライラしないでよ。いつもの事だし」
「ふざけんな!」
いないとかマジで…来た意味ねえじゃん。
「あのさ、君今の状況分かってる?」
「あん?」
「ここ男子校。故に男だけ」
"君は女の子だよね"と下心丸見えに俺に言った。
やっぱ男は嫌いだ、ウザイ。
そういう事しか頭にねえのかよ。
女だからって甘く見るなクサレ共。
「知るか。俺は場の状況が読めねえ程馬鹿じゃねえんだよ。
お前らみたいな単純馬鹿と一緒にすんな」
「あはは、言うね」
何笑ってんだコイツ…。
「じゃあさ、こうしようよ」
「?」
「俺が阿伏兎の代わりになるよ。喧嘩してあげる」
こいつ、なんなんだ?
余裕ぶって楽しそうにして…玩具を見つけたガキみたいだ。
俺を見下してるつもりか?
「お前、」
「君は良い度胸をしてるよね。どれくらい強いのか気になるな」
「(意味分かんねえ)」
「―そういや名前言ってなかったか。
俺、神威」
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