「なにしてんの」
「人に水をかけておいてそれですか」
「先生がそこに現れるのが悪い」
「通りかかっただけですよ」
「嘘つけ授業中だろ」
「私一応教師ですよみょうじさん」
私がホースの口をぎゅうっと搾って先生の顔の脇にしぱーん!と華麗なショットを決めたら先生はぼたぼたさっき頭から被せた水を顔から垂らしながらにこにこ笑って、しねという形に口を動かした。私もにこにこ笑って、セイバーちゃんならもうシャワー浴びに戻ったよと言ったら一気に先生の顔から営業用の笑顔が失せて能面に戻る。
「貴女はいつ戻るんですか今直ぐにでも戻ったら如何ですかただでさえ動作が遅いんですから」
「私は今お掃除中なんです〜」
「そうですか無様ですね」
「股間狙いますよ」
「やめてください」
先生はげんなり溜息をついて、あーここまで来て損したという表情でいっぱいだから「まあ私の水着でも見て行きなよ」とか言ってみたらはぁ?って顔をマジではぁ?って声出しながらしたからもう一度緩めに水をかけたら怒られた。「誰が得するんですか」「あのさほんと先生ってなんで先生になれたんだろうね」「私は平等ですから」割と先生の冗談は冗談に聞こえない上に笑えない
金網の向こうに、びしょ濡れの先生が立ってる。しゃがむとちょうど先生の顔の前になる。先生の背は高いから見下ろすのは新鮮で、また、先生が若干この上から話される感じを嫌ってるあたりも面白いからプールの時間は嫌いではない。セイバーちゃんがいると確実に先生は通りかかるし。授業中のくせに。先生は恨みがましく下からこちらを睨んでいる。「何故いつも邪魔ばかりなさるんですか」
「私すきなひとに意地悪したくなる病なんだ」
「最悪の病ですね」
「先生もそうでしょ」
「いいえ、貴女と違って歪んでいませんからねぇ」
「今ブラウス一枚のセイバーちゃんが通ったけど」
「早くそのホースを貸しなさい」
はい。といって先生の顔にまたばしゃっと水をかけたら先生はまたあの貼り付けたような笑顔で覚えておけよみょうじという形に口を動かした。はいはいと私は笑う。「先生もほんとは意地悪したいくせにね」「しませんよ」「してるじゃん」先生は目を開いて、ちょっとだけ俯いて息を吐いて笑う。「妬かせる程度は意地悪に入りません」
おまえほんとせいかくわるいよな。
20111130 −似た者同士