眠れないので
2011/08/27 03:01

※ポケモン擬人化注意
連載主(ちょっと(BL臭が)匂います)










「・・・ん、」

真っ暗な闇。
どこか遠くで、近くでポケモンが鳴いている。
虫ポケモン。或いは鳥ポケモン。
完全に覚醒しきらない脳内では、何を考えてもそれは無意味に終わってしまうのだけれども。

「誰・・・だ、?」

ガサガサとすぐ近くの草むらが揺れる。
風のせい・・・なんかじゃない、もっと重みのある、何かが動いているような、そんな音。
コラッタか何かだろか。面倒だ、このまま寝てしまおう。
寝袋の中で寝返りを打ち草むらに背を向け、瞼を閉じていく。すぐに意識はブラックアウトする・・・はずなのに。

「主人?」

「・・・は、ぁ?」

寝袋から出していた腕を引っ張られ、その衝撃に目を見開く。
暗闇に浮かぶ赤が、やけに目に痛かった。


「お前、誰・・・だ、」

明らかにおかしい。
赤・・・というよりもオレンジを基調とした、まるでコスプレのような格好をした薄い金髪の青年は口元にニヤリと笑みを浮かべると俺の腹の上に腰を下ろした。
腹に重みが加わり息が詰まる。何こいつ、一体何。
さっきまでの眠気はどこへ行ったのやら、覚醒しきった脳内ではグルグルといろんな考えが浮かんでは消えを繰り返していた。


「酷いな、わからないんですか?俺のことが」

「何言って、・・・ぅ、わ」

青年の顔が近づいてきたかと思えば、そのまま首へ鼻を押し付けられた。
体が固まる。何コレどんな状況。
ものすごい勢いで心臓が脈打つのはなぜだろうかわからない。何をされるかわからない、得体の知れない恐怖からかすぐ近くに他人の体温があるからかなのか。
わからない。
とりあえずくんくんと首の匂いを嗅ぐ青年にどう触れていいのかもわからず、両手を宙に彷徨わせた。


「っ、!!!」

ガブリ。
これだ、音で表すなら、絶対に。
鈍い痛みが首筋に走る。これはまさか

「か、か、かん、噛んでっ、!?」

ぬめりとした感覚にクラと頭が回る。
どんな状況だコレ一体。だから野宿はイヤなんだ。

「主人、俺ですよ。ウインディ」

少しの距離を取り、しかし尚俺の腹の上に馬乗りのままの青年はニコリと笑った。
―意味不明な言葉を発して。

「馬鹿言え・・・!俺のウインディはもっとかわい、っひ」

「あのね、いい加減ウザいんっすよ主人。いっつもいっつも俺をガーディの頃のように扱いやがって俺はウインディですよでんせつポケモンですよ?このバカ主人が」

「・・・」

仮にこの男がウインディたんだとしよう。
・・・何コレ酷い。

「あ。くれぐれも俺の上に乗るなんてことこれから考えないでくださいね?マジ振り落としますから」

それでは。
そうにこやかに言って俺の上から立ち上がった自称ウインディは闇の向こうへ消えていってしまった。
取り残された俺は一人闇の中で宙を見つめる。
ちなみにモンスターボールを確認する勇気はない。よしこのまま寝て夢オチにしよう。

「・・・なんだかなあ」

たとえ夢落ちで終わったとしても・・・なあ、なんか。もう。

「ウインディたん・・・」

視界が霞んでいるのはきっと気のせいだと、そう思うことにしました。



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