第九話(5/6)
「水樹ー」
「…総悟?」
「さっき兄貴がアンタを怒らせちまったって落ち込んでやしたぜ?」
「知らない」
「嫌われたら生きていけないとかなんとか…」
「しょうがないなー」
僕はそれを聞いて渋々とお兄ちゃんの自室に向かった。
「…お、お兄ちゃんいる?」
「そ、その声は水樹か?」
「う、うん…その、今朝はごめん。」
「いや、元はと言えば俺が…
いくら兄貴でもデリカシーのないことしたと思ってる。
ほんとごめんな」
「いや、いいって。
てか何でドア越し?
せっかくだから開けてよ」
「あ、あぁ…」
扉がゆっくりと開いた。
そして、お互いの瞳が合った瞬間−−−
「…お、お兄ちゃん泣いてたの?」
「う、うるせっ///」
「ほんとバカだなー
僕が本気で嫌いになるわけないでしょ」
「水樹…」
「今日だけだから…
んで、総悟には絶対に言わないでよ?」
「おうっ」
僕は目を真っ赤にさせたお兄ちゃんを包み込むようにして抱きしめた。
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