第一話(3/5)
「零…」
「!?」
僕は、銀さんに抱きしめられた。
それを理解するのに数十秒かかった。
「なぁ、いい加減…
前を向いていいんじゃねーか?」
「でも…」
「いつまでも過去に縛られんな。
お前には未来がある。
だから、零…
お前が大事だった奴の分まで楽しく生きてやるんだ。
それが、死んだ奴に出来る唯一のことだ。」
「銀さん、ありがとう…
僕、これからは前を向いて生きるよ。」
「そうか。
それで、物は試しなんだが…
俺と付き合って下さい。」
「なんで?」
「え、ちょっと…
今いい感じの雰囲気だったのに…」
「確かに僕は、銀さんのこと好きだよ。
だけど、僕の好きは『like』だから」
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