『おぬしとアデルは、少し似ておるのかも知れぬな』

置いていかれることが怖い。けれどそれと同じくらい、寄り添った者の隣に永く立てることが嬉しい。そんな気持ちならよく分かった。
そしてアデルも、自分は人間だと思い込んでいたらしい。
知りたくなかったかと言われれば、間違いなくそんなことはないと答える。
それでも、アデルには家族が居る。自分には仲間が居る
…いつか、そのほとんどを失うのだ。

しかし、『いつか』に囚われたりはしないとアデルはロザリンドに宣言したそうだ。完全に吹っ切れてしまうことはできなくとも、覚悟だけはしっかり持っていると。
見ないふりを決め込んだ自分とは大違いだった。

(覚悟、するべきなのかな)

ギグを失ったあの時と似た感覚なのだろう。そんなものを受け止めきれるだろうか
ダネットが居なくなることを、理解できるだろうか

(無理だよ…ダネット…)

立てた膝に顔を埋めて、想像と拒絶を繰り返すリベアの部屋のドアを、誰かがノックする音が聞こえた





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