ある日、フーカの部屋でのこと

「なんで、なんでなの…」
「どうなさいましたの?」

コントローラーを持った腕を震わせて、フーカはうわごとのように呟いた。アルティナの言葉は聞こえていないようだ

「ギグっちが女の子って、それはいいわ。面白かったもの
でも…なんで告白イベントが無いのよぉぉぉぉ!!」

ごしゃ!
盛大な音を立てて破壊されたコントローラーを、アルティナな同情的な目線で見ていた。

「最初から夫婦すぎるんだから、ちょっとこう、恋人期間の甘酸っぱいなにかはなかったの?!」
「お風呂イベントはあったんじゃありませんでした?」
「序盤すぎて恋人っぽくないし、それはお色気イベントだもん!甘酸っぱくなーい!!」

だんだんと座ったまま地団駄を踏むフーカの暴れようは、それこそどこまでもその音が響くようで、アルティナは彼女をどう諌めようかと真剣に考え始める。(無駄だとは残念ながら分かっていた)

「なによ最初から夫婦なんて!ベリルちゃんに聞いたけど、邪悪学園でも二人の世界だったらしいじゃない!」
「それは、あちらではリベアさんが喋ることができなかったからでは?」
「ならこっちでもナチュラルに夫婦してるのはなんでよ?!」
「えーっと、それは…」
「あれには相当の甘酸っぱさと、大きなイベントがありそうだと思ってたの…だからわざわざ取り寄せたのに…
最初に融合して、相棒で?
ギグっちは全然リベアちゃんに甘くなかったけど、終盤にはもうただのツンデレよ!ナチュラルに一緒に寝て夢まで見せあっちゃってさ
恋の期間が短すぎるわ!夫婦愛に到達するのが早過ぎるの!」

そう、フーカが物凄い剣幕でまくし立てる内容は、その彼らではなく別の彼らに符合するような気がする
アルティナは地雷ではないようにと祈りながら、打開策を提案した。

「フーカさんは、甘酸っぱさを求めていらっしゃるのでしょう?」
「…そうね、そうなるわ」
「でしたら、2をやるのが手っ取り早いのでは?」
「2?」
「ええ、アデルさんとロザリンドさんのあれですわ」
「…そっか、なるほど!」

アルティナちゃんナイス!
と、言い終えるか終えないかの間に、部屋の扉は閉まっていた。
嵐は去った。一息を吐き、額に浮いた少しの汗をアルティナは拭った。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
丸投げという
ギグリベってあんま本編でイチャイチャしないもんだからね
ギグENDも恋色は薄かったし、もうあれは夫婦だった。仕方ない




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