「いろんなとこ渡り歩いた。とか言ってたよな?」
『…うん。お船に、内緒で乗ったり、できるから…多分、日本一周くらいは、してる』
「すげぇな
『あと…10年くらい、雪山に住んだりもした』
「雪山?どこのだよ」
『…知らない。あの子に連れられて…気付いたら真っ白な所に居た』
「は?!あの子って誰だよ。っつかお前抵抗しろよ」
『…人の居ない場所…仲間の多い場所、知ってるって』
「…そう、か」
『でも、熊の幽霊とか、人の幽霊とかいっぱいで…だから、人間も大丈夫に、なったんだよ』
「…そっか」
『うん』


 ̄ ̄ ̄


『………やだ、こないで』
「今回は俺のせいじゃねぇんだよ!」
『でもやだ。こないで』
「祖父ちゃんが貰ったから晩飯はこれでとか言い出したんだよ」
『…知ってる。魔除けに、なるんでしょ?…だから、除けてる』
「レッドぉ…」

『…なにやってんだ?』
『グリーンの晩御飯が鰯だったらしいってコト』
『あ〜…ご愁傷サマ』


 ̄ ̄ ̄


おれの友達が、よく片足跳びをするようになった。
理由を聞いても締まりのない顔で笑うだけで、それが(普段キリッとイケメンやってるやつな分)地味に気味が悪くて、聞くに聞けなくなった。そんな小学生時代
中学に入っても、帰り道が似ているおかげで交友は変わらなかった。あいつがけんけんしだすのは周りに人が居なくなってからで、つまりおれと二人になってからだ。
けんけん、けんけん
中学生にもなってまだやってんのかってつっこんだりもしたが、『こうやってずっと歩き続けてるすげぇやつも居るんだぜ』とまた締まりのない顔で笑うもんだから、もう面倒になって不思議に思うことすらやめた。

でもそいつにはもう一つ不思議なことがある。
小学生のある時以降、人を自分の家に招くのをひたすらに拒むようになった。訪問懇談も爺さんの研究所でやらせたり、中学時代には誰にも住所を教えなかったりしていた。でもあいつの家はこの辺じゃ有名なもんだから、たまに突撃する阿呆もいたが…誰も、家に入ったことがない。それに女子にも靡かない。
だから気になって聞いたことがある。モテるのになんで付き合ったりしないんだ。まさか同棲してる彼女でもいるのか?と
そしたらそいつは、

「誰にも知られたくないくらい大切なやつなら居るぜ?」

この意味、分かるよな?
口角だけ上げて、緑色の目を凶悪に細めて、そう言った。
…以降、俺はあいつについていろいろ聞いてくる女子に、どれだけ怪訝な顔をされてもこう警告するようになった。
死にたくないならあいつはやめとけ。と
きっとあいつは、その領域に踏み込んだ奴を躊躇いなく殺せるだろうからな



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1.レッドさんの波瀾万丈幽霊生活
2.鰯ネタふたたび
3.ヤンデレグリーンを1話の友人視点から
でも友人続けられるって、実はすげぇ肝っ玉だと思う




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