グリーンは激怒した。

「…なに、裸で走るの?」
「ちっげーよ。ほれ」

ゲーム画面から目を離さないレッドの眼前に、グリーンは細々とした字が書かれた紙を突き出した。もちろんレッドに読む気はない。

「…説明」
「はいはい
学校からの通達だ。一年の通算当校日数が36日以下の優等生でバトルロワイヤル。優勝者に生屠壞長の称号と金一封ってよ」
「へぇ…で?」
「つまりお前が目立っちまうだろ」

敵は少ないに越したことはないよな
にっこりと笑うグリーンが激怒しているようには、おそらく誰も見えないだろう。
だがレッドには見えている。背負ったオーラには『面倒だ』『ふざけんな』『バトるレッドを見た奴は殺す』とおどろおどろしく書かれているのだ。

「どうする気?」
「その日歩けなくしてやってもいいけど、レッドさんの召喚魔法は怖いからな
皆殺しで妥協してやるよ」
「…そう」

それはよかった
どうでもよさ気に返事をしたレッドだったが、実際は愉快なイベントをやってくれるものだと、血で血を洗う闘いに期待していた。
もちろん、そんなことはグリーンも理解している。

「お前もちゃんと殺せよ?」
「…相手が殺す気で来たら、ね」
「ちぇっ」

今晩絶対犯してやる
ぶすくれたグリーンはそう呟いて、内心わくわくしているレッドの横顔を眺めていた。




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