口から産まれてきたような人なのに!やら、風邪つえぇ!やら

『素直に心配できないのかお前ら!』
「残念、筆談じゃ迫力もなんもねぇッスよ、先輩」
「馬鹿じゃないって証明できたんですから、まぁいいじゃないですか」

とかなんとか吐かして、見舞いの果物を大量に持ってきただけであっさり帰りやがった(馬鹿じゃないから移るんだと。コトネはともかくゴールドは馬鹿だろ)後輩と入れ違いに、呼んでもないのにやってきたレッドの手に見舞いはなかった。曰く連絡をあいつらから貰った。見舞いは持っていくからと看病を任されたんだそうだ。
普段先輩として見られていない節があるが、こういう優しさがあいつらを憎み切れない理由なのかもしれない。よっぽどのことがない限り辛辣なのは少し問題だが

風邪、特に声すら出ないような重症のときには身内かレッドの看病が一番だ。
筆談に慣れているわけなんてない。めんどくさいし、腕を動かす度に関節が痛む。
ここまでいくともう誰の手も借りないわけにはいかないのだから、おとなしくレッドに任せるべきだ。無茶をすれば鳩尾に肘が飛んで来るのは昔から分かってる。

「ゼリー?お粥?」
「…」
「塩粥?」
「…」
「…ん。少し、待ってて」

飲み水を枕元に置き、冷却シートと氷枕もてきぱきと準備して、否定も肯定もしない俺の目だけを見て判断していく。普段とまるで逆だ。レッドになった気分だ。

俺にできるんだからレッドにもできる。当たり前なのに、言えばみんな驚くもんだから不思議で仕方ない。
隣から真正面から、俺はレッドをずっと見てきた。レッドもそうだ。
だからお互い、目を見れば分かる。無口無表情で固まった外っ面から判別するのには大いに役立つものの、ちゃんと口も表情も動く人間に対しては使う必要なんぞないもんだから、そのスキルは秘匿されているように知られていないのかもしれない。
俺達は通じ合ってるのにな

「…できた。座れる?」

しばらくしてキッチンから帰ってきたレッドは、器にちょうどいいくらいに盛られた(さっき無言で要求した)鮭フレーク入りの卵粥をヘッドボードに置いて、じっと俺の目を見ている。
この瞬間がたまらなく好きだ。風邪が移ったら…とか、自分の身を顧みればこんな重症患者を看るのは心底嫌だろうに、そんな打算なんてこれっぽっちも考えない心からの心配と、俺のためになにかしたいって気持ちが伝わってくる。
可愛いな、なんて思えばデコピンを食らう。シート越しとはいえ痛いもんは痛い

「余計な事、考えてる」
「…」
「…冷めるよ」

ここではいはいと返せないことに強烈な違和感を覚えながら、とりあえず節々の痛みに耐えてなんとか起き上がった。自分の身よりレッドの料理だ。蓮華はもちろんレッドが持っているという絶好のチャンス

「…」
「…」

あーんとか言ってくれと目で要求すれば目で断られた。睨むな防御が下がる(だからなんだとさらに睨まれた)



 ̄ ̄ ̄ ̄
飽きた(^O^)
いい奥さん過ぎてなんでお前女の子じゃねぇのかなぁ…ってグリーンが思う話が書きたかったはず
どうしてこうなった




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