一緒に遊んで『楽しい』を知った
笑っているのを見て『嬉しい』を知った
傍に居ない雨の日に『淋しい』を知った
泣きそうになったお前と一緒に『悲しい』を知った

木登りをして落ちた僕を受け止めてくれたとき、心臓の音を知った。
狭い秘密基地で遊ぶとき何故かすごく距離が近い気がして、ふと『恥ずかしい』を知った。
引っ張って行こうとする繋いだ手に別の『嬉しい』を知って、けど『痛い』も知った。

『好き』を、知ってしまった

「…こんなの、いらなかったのに」

楽しい、嬉しいだけでよかったのに、要らないものも彼と一緒に居る間に覚えてしまった。
教えるだけ教えたその人は、きっと自分が僕にそんなことを教えていたなんて知りもしない。
そう、きっと僕が男じゃないことも、なにも知らないんだ
だから関係は親友からライバルになって、あの時には考えられないくらいの嫌味と敵対心が飛ぶ。
せめて親友がよかったなんて、故意にではなくても彼に隠し事をしている僕は口が裂けても言えない
きゅっと、胸が『痛い』と訴えた


「…レッド?」

聞き知った声、目の前に現れたのは息切れしているグリーン
おかしいな、グリーンなら先に次の町に着いてると思っていたのに

「…久しぶり」
「おう。お前は相変わらず暗いな!
…じゃねぇ!!」

嫌味一つ、すぐさましゃがみ込んだグリーン
頭を抱えて、ぶつぶつぶつぶつ
…変なの

「…どうか、した?」
「あぁどうかしてるっての。お前がな
あとちょっとしたらもう町だってのに、なんでこんなとこで野宿してんだよ!」
「…もう暗いし、夜の森で動き回るの、危ない」
「ならリザードンで飛べばいいだろーが」
「…今日、相手が草タイプばっかりで…リザードン、疲れてる」
「自分の安全より手持ちってか?!そういうのは自分の身を守れるようになってから言えよ!
お前はお…」
「…お?」
「お、お、お子様だからな!あぶねぇの!!
おれさまのピジョットに乗せてやっから、町行くぞ!!」
「………わかった」

お子様。同い年のくせに、馬鹿にするような言葉なのに
少しでも心配されて『嬉しい』。一緒に居られて『嬉しい』。
ふくふくと暖かさを感じて、その通りピジョットに乗るその背中は暖かくて、頬を擦り寄せた
びっくりしたみたいに跳ねて、くっつくなと怒鳴ったかと思えば、危ないからやっぱくっついてろと言う
あんまりくっつきすぎると僕の心臓の音が聞かれそうで、触れたのは頬と手の平だけ
でも、旅を始めてから一番近い距離が『痛い』を鎮めてくれるようで、『好き』が大きくなっていく気がした











 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
間怠っこしい




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