レッドがなんの予告もなく下山してくることなどいつものことで、そうなれば俺はいち早くレッドを構い倒すため、今日の分の裏方仕事(本日はじいちゃんの研究資料まとめ)を早く終わらせようと手を動かす。
仕事を無視して近づこうものなら、レッドと戯れている黄色の小動物はたちまち悪魔に変わる。青い電気を纏うことで逆立った毛は俺の相棒のようで、そいつに突撃命令を下そうとする我が愛妻─そう言えば誰が妻だとまた怒られる─は冷酷にこう呟くわけだ
『仕事のできない男はダメ』
カスミに吹き込まれた受け売りだと知っていて逆らえないのは一重に、その言葉が夫婦だとか恋人だとかの範囲で見れるからだろうか
相当に病気だ。誰に言われなくても自分が一番分かってる。
それでも、今こうして大急ぎで資料をチェックしていく自分はなに一つ間違ったことをしているわけがない。
…ちょっとミスがあっても、じいちゃんなら自分でなんとかするしな、大丈夫だろ
なんて言い訳は、ホッチキスで紙と一緒に綴じ込んでしまえ

さぁ、愛しの恋人を構い倒そうではないか
意気込んで顔を上げれば…

「…ま、分かってたけどな」

意気消沈
ピカピカと主人に似ずお喋りな黄色に言葉を返すように可愛らしくその言葉を真似ていた我が恋人は、おそらく俺よりも彼的ヒエラルキーの順位が圧倒的に高いであろうその相棒を抱きながら、なんとも幸せそうな、それこそ天使の表情でお眠りになっていた
…持ってきたタオルケットをかけてやりながら、報われない自分に少し涙が滲んだのは内緒だ






 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
リハビリなう




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