清廉な朝にはコーヒーを、あいつにはカフェオレを
普段とは違うミルク混じりの甘い香りを部屋に提供するマグを手にカエデはご機嫌に笑っている。ポッポの鳴き声のおかげだろうか。雲ひとつないわけではないが、晴れ間のしっかりした空のおかげだろうか
晴れ空に雲があることは素敵だと、今と同じように笑って手を伸ばしていたいつかを思い出した。

外に出るかと聞けば、そのつもりだったんだとカエデは答えた。なるほどテンションが高いわけだ
買い物はトキワで済ませて、今日は歩いて行ける範囲で知人めぐりをするつもりだったらしい。なら今から行くかと立ち上がった俺を追いかけてパタパタとスリッパを鳴らす様は可愛らしい。
そんな足音は外に出ても変わらない。アスファルトでリズムを落とすように軽快な音が歌うようで、ただ黒灰と続く道が七色に変わった錯覚をした。

「ほんと、お前は外が似合うよな」
「きみもね、アオイ」

たたん、と振り向いた短いリズムと声は、とても幸せそうに聴こえた。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なないろの朝のリズムのイメージ
カエデの歩く世界は楽しそう。だからそれを傍で見るのがすきなアオイ
ちなみにこれがもみじの糖度限界




.