曖昧で面倒のない関係だと、思ってたのは俺だけだったんだ
居なくなったと半狂乱になって探すあいつらを尻目に、ただ異様な喪失感と、それに連なる虚脱感だけ持って、俺はそう気付いた。

いつだったか、そんな関係に相応しい行為に耽った後の、甘さなんてもんのない軽口の応酬で言った。『孕んだらどうすんだ』と

『…どうでも。好きにすれば』
『んじゃ、下ろせよ』
『…うん。それも面倒なら、死んでもいいよ』
『過激なこって』

俺は笑った。冗談だと自分の感覚で決め付けたからだ。珍しくお前の瞳に感情の底が見えないことなんて、気づきもしなかった。
でも、まだお前とこういう関係でいたいな。とか、孕んだって下ろした後でまたヤんだからな。なんて当たり前みたいに思って、それを伝えることもなかった。
なんでお前とそういう関係でいたかったのかも、惰性なんてあるわけないのに考えなかったな

きっと、お前の死体はあいつらが見つけるんだ。シロガネ山でなんにもせずに雪に倒れ込んでりゃ、凍死の死体くらいあっという間に出来上がるだろうよ
…なあ、もしお前が腹を抱えて死んでたなら、俺はお前に言わなきゃいけないことがあるんだ

「結婚しよう、レッド」

指輪の用意もないくせに、予行練習みたいに呟いて、五月蝿くがなり立てはじめたポケギアに手を伸ばした。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
閃いて走り書き
ほんとすいません




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