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「だから、ってわけではないかもしれませんが……。まあ、嫌がらせはありましたよ」
「ありましたよ、ってお前な……」
淡々と語る黒子に火神はハンバーガーを食べる手を止めた。
「現在進行形で起きてる事はどうするんだよ」
「今に始まったことじゃないです」
遡ること数日。
いつも通り誠凛バスケ部の練習に向かう途中、黒子はずぶ濡れになった。
空からいきなり水が降ってきたのだ。
とはいえこの日は晴天快晴、通り雨でもない。要するに人為的なものだ。
降らせた当人の「やべっ! 当たっちゃった」という呟きを聞く限り実際に濡らすつもりはなかったのだろう。
以前からたまに目の前に紙くずが降ってきたり、黒板消しをはたかれたりしたのは偶然ではないのかもしれないが。
頭上からの攻撃ばかり受けるあたりイーグルアイしかりホークアイしかり、上からなら存在感の無さもミスディレクションも通用しないのですね、とずれたことを言って火神に小突かれた記憶も新しい。
しかしこのことで彼らのブレーキは緩んだのか、嫌がらせはちょっとずつエスカレートしていった。
紙くずは当たるようになり、水が降り粉が降り。
狙いが外れそれらが火神に当たることもしばしばある。
「どうすんだよ」
別段、気にする風でもない黒子に火神はヤキモキする。
元々正義感が強く、熱血な所がある火神とって、黒子が悪意に曝されている事を他人事などで済ませるつもりはない。
当人さえ乗り気になれば相手を締め上げたってこんな馬鹿な行為は止めさせるだろう。
そう、当人さえ乗り気なら。
「飽きるまで放置するしかないですね」
眉根を寄せる火神を余所に中学の時もそうしていました、と当の黒子はあっけらかんと言い放つ。
あまりの言動にげんなりする火神を尻目に「なんとかなりますよ」とのんきに残りのバニラシェイクを飲みきった。
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「だから、ってわけではないかもしれませんが……。まあ、嫌がらせはありましたよ」
「ありましたよ、ってお前な……」
淡々と語る黒子に火神はハンバーガーを食べる手を止めた。
「現在進行形で起きてる事はどうするんだよ」
「今に始まったことじゃないです」
遡ること数日。
いつも通り誠凛バスケ部の練習に向かう途中、黒子はずぶ濡れになった。
空からいきなり水が降ってきたのだ。
とはいえこの日は晴天快晴、通り雨でもない。要するに人為的なものだ。
降らせた当人の「やべっ! 当たっちゃった」という呟きを聞く限り実際に濡らすつもりはなかったのだろう。
以前からたまに目の前に紙くずが降ってきたり、黒板消しをはたかれたりしたのは偶然ではないのかもしれないが。
頭上からの攻撃ばかり受けるあたりイーグルアイしかりホークアイしかり、上からなら存在感の無さもミスディレクションも通用しないのですね、とずれたことを言って火神に小突かれた記憶も新しい。
しかしこのことで彼らのブレーキは緩んだのか、嫌がらせはちょっとずつエスカレートしていった。
紙くずは当たるようになり、水が降り粉が降り。
狙いが外れそれらが火神に当たることもしばしばある。
「どうすんだよ」
別段、気にする風でもない黒子に火神はヤキモキする。
元々正義感が強く、熱血な所がある火神とって、黒子が悪意に曝されている事を他人事などで済ませるつもりはない。
当人さえ乗り気になれば相手を締め上げたってこんな馬鹿な行為は止めさせるだろう。
そう、当人さえ乗り気なら。
「飽きるまで放置するしかないですね」
眉根を寄せる火神を余所に中学の時もそうしていました、と当の黒子はあっけらかんと言い放つ。
あまりの言動にげんなりする火神を尻目に「なんとかなりますよ」とのんきに残りのバニラシェイクを飲みきった。
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