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[mokuji]
「次は、大輝……まだ寝てるのかい?」
ちらりと視線を黒い固まりに向けるが、それはぐうぐうと健やかとはあまり言えない寝息を立てている。
いわゆる猛犬、といった感じだ。
「まったく……仕方のない奴だな」
あきれながら黒い固まりに近づいた赤司は、なんの躊躇いもなく鼻めがけて鋭い猫パンチを繰り出した。
「いっだ! 痛! なんだよ!」
キャン、と言いながら鼻を押さえる黒い犬。
がっしりとした筋肉質の身体に短い毛並み。単純にカッコいいと黄瀬は思った。
――猫に負かされている現状を見なければ。
よほど痛かったのか鼻を押さえ踞ったままだ。
「真っ昼間から寝てるんじゃないのだよ」
「仕方ねーだろ。退屈なんだからよ」
じろり、と緑間を睨みつける目はかなりの迫力だ。
しかしそんな
「大輝、彼が新入りだ」
「……? なんだ?」
その犬は訳がわからない、とぱちぱち目をしばたたかせていたが、黄瀬の姿をとらえると一目散に駆け寄った。
「お前いつの間に来たんだ? なあ、蝉は好きか? フリスビーは好きか?」
目つきの悪い目を輝かせて矢継ぎ早に質問してくる。
彼は見た目は怖いが中身はまだ遊び盛りらしい。
「蝉はちょと……。えっと、黄瀬涼太っス。よろしく!」
「おう、青峰大輝だ! よろしくな」
一通り紹介を終えて、黄瀬が思ったこと。
この家のヒエラルキーの頂点は間違いなく赤司である。
自分たちが大型犬だから、小さな相手を怪我させないように手加減している、という訳ではなく、皆純粋に赤司を信頼しているようだった。
こんなくせ者揃いの大型犬達をまとめるなんて――
「すごいっスね! 赤司っち!」
「? 何がだい涼太?」
「赤司っちがみんなのリーダーなんスね」
キラキラとした目で赤司を見つめる黄瀬に他の犬達は首を傾げる。
「リーダーっていうのとはちょっと違うのだよ」
「どっちかって言えば魔王だな」
ケラケラとわらいながら言い放った青峰の言葉に、その部屋の空気が3度ほど下がった気がした。
「酷いな大輝。そんな風に思っていたのかい?」
「スイマセンデシタ!!」
だからお前はアホ峰なのだよという緑間の呟きは青峰の鳴き声にかき消された。
黄瀬はあらためて赤司にだけは逆らってはいけないな、と思うのだった。
ちらりと視線を黒い固まりに向けるが、それはぐうぐうと健やかとはあまり言えない寝息を立てている。
いわゆる猛犬、といった感じだ。
「まったく……仕方のない奴だな」
あきれながら黒い固まりに近づいた赤司は、なんの躊躇いもなく鼻めがけて鋭い猫パンチを繰り出した。
「いっだ! 痛! なんだよ!」
キャン、と言いながら鼻を押さえる黒い犬。
がっしりとした筋肉質の身体に短い毛並み。単純にカッコいいと黄瀬は思った。
――猫に負かされている現状を見なければ。
よほど痛かったのか鼻を押さえ踞ったままだ。
「真っ昼間から寝てるんじゃないのだよ」
「仕方ねーだろ。退屈なんだからよ」
じろり、と緑間を睨みつける目はかなりの迫力だ。
しかしそんな
「大輝、彼が新入りだ」
「……? なんだ?」
その犬は訳がわからない、とぱちぱち目をしばたたかせていたが、黄瀬の姿をとらえると一目散に駆け寄った。
「お前いつの間に来たんだ? なあ、蝉は好きか? フリスビーは好きか?」
目つきの悪い目を輝かせて矢継ぎ早に質問してくる。
彼は見た目は怖いが中身はまだ遊び盛りらしい。
「蝉はちょと……。えっと、黄瀬涼太っス。よろしく!」
「おう、青峰大輝だ! よろしくな」
一通り紹介を終えて、黄瀬が思ったこと。
この家のヒエラルキーの頂点は間違いなく赤司である。
自分たちが大型犬だから、小さな相手を怪我させないように手加減している、という訳ではなく、皆純粋に赤司を信頼しているようだった。
こんなくせ者揃いの大型犬達をまとめるなんて――
「すごいっスね! 赤司っち!」
「? 何がだい涼太?」
「赤司っちがみんなのリーダーなんスね」
キラキラとした目で赤司を見つめる黄瀬に他の犬達は首を傾げる。
「リーダーっていうのとはちょっと違うのだよ」
「どっちかって言えば魔王だな」
ケラケラとわらいながら言い放った青峰の言葉に、その部屋の空気が3度ほど下がった気がした。
「酷いな大輝。そんな風に思っていたのかい?」
「スイマセンデシタ!!」
だからお前はアホ峰なのだよという緑間の呟きは青峰の鳴き声にかき消された。
黄瀬はあらためて赤司にだけは逆らってはいけないな、と思うのだった。
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