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紫原は大きな身体とそれに見合う力の強さがある。
緑間は性格が変だけど占いが驚く程当たるらしい。
青峰はなによりも身体能力に恵まれている。
そしてそんな彼らをまとめる赤司――。
家族としても、観賞用としても、番犬としても優秀である。
皆個性が強く、黄瀬にとって今まで会ってきたどんな動物達をも凌駕する魅力を持っていた。尊敬できた。
その一員になれることが黄瀬には誇りに思えた。
「……1、2、3、4……あれ? 5匹じゃないんスか?」
ふと、先ほどのことを思い出す。
家に入った時は確かに5匹分の匂いがあった筈だ。
勘違いだったかな、と黄瀬が首を傾げていると足元からにゃん、と小さな鳴き声がした。
「僕はここにいます」
「え、うわあ! いつの間に……! っていうかちっちゃ!」
いつの間に現れたのか小さな黒猫がいた。
赤司よりももっと小さい。うっかり踏んで潰してしまいそうなくらいだ。
「始めから居ました。僕は小さくないです。君達が大きいんです」
「テツは全然大きくならねぇよな」
悪役じみた顔でにやりと笑った青峰は鼻先で黒子の頭をかき混ぜる。
青峰は手加減しているようだが、体格差が大きすぎるため、右へ左へと、黒子はぐらんぐらんと振り回されてしまっている。
そうしていると猫が犬に虐められているようにしか見えない。
「種族が違いますから」
いい加減頭を揺さぶられるのが煩わしくなったのか、黒子は青峰の鼻先にパンチした。
先ほどの赤司の一撃に比べどう見ても弱いが青峰は黒子から手――鼻だが――を離し、「怒るなよ」と言いながらぐしゃぐしゃにした毛並みを整えてやりだした。
「相変わらず大輝は黒子に甘いな」
自分の毛繕いすらサボるくせに、と二匹を見守っていた赤司が目を細める。
「相棒だしな。それにお前程じゃねーよ」
「赤司はみんなに甘いのだよ」
「黒ちんって甘いの?」
「食べ物じゃないぞ敦」
彼らのやりとりを見つめていた黄瀬は内心疑問でいっぱいだった。
皆、黒子に甘い。
確かに身体は小さいし、保護対象になるのはわかるのだが、あの青峰に“相棒”と言わしめたのだ。
どう見ても普通の、寧ろひ弱な猫に何故?
「黒子“クン”はなにができるんスか?」
「何、とは?」
「得意なこととか、なんかの大会で賞をとったとか」
「しいけ、だ。
「ふーん。で、なんて種類なんスか?」
「さあ? 雑種です」
「雑種、ね……」
雑種は黄瀬の居る事務所ではあまり――殆どいない。
MIXと呼ばれる血統種と血統種の掛け合わせならいるが、基本的には血統書付きが当たり前だ。
血統書付きと呼ばれる動物達には、そのプライド故か“雑種”を下に見るきらいがあった。
これだけの才能を持った犬達に囲まれた、ただ一匹のなんの取り柄もない凡庸な猫。
この時点で黄瀬の中でこの家のヒエラルキーは黒子が最下層に思えた。
緑間は性格が変だけど占いが驚く程当たるらしい。
青峰はなによりも身体能力に恵まれている。
そしてそんな彼らをまとめる赤司――。
家族としても、観賞用としても、番犬としても優秀である。
皆個性が強く、黄瀬にとって今まで会ってきたどんな動物達をも凌駕する魅力を持っていた。尊敬できた。
その一員になれることが黄瀬には誇りに思えた。
「……1、2、3、4……あれ? 5匹じゃないんスか?」
ふと、先ほどのことを思い出す。
家に入った時は確かに5匹分の匂いがあった筈だ。
勘違いだったかな、と黄瀬が首を傾げていると足元からにゃん、と小さな鳴き声がした。
「僕はここにいます」
「え、うわあ! いつの間に……! っていうかちっちゃ!」
いつの間に現れたのか小さな黒猫がいた。
赤司よりももっと小さい。うっかり踏んで潰してしまいそうなくらいだ。
「始めから居ました。僕は小さくないです。君達が大きいんです」
「テツは全然大きくならねぇよな」
悪役じみた顔でにやりと笑った青峰は鼻先で黒子の頭をかき混ぜる。
青峰は手加減しているようだが、体格差が大きすぎるため、右へ左へと、黒子はぐらんぐらんと振り回されてしまっている。
そうしていると猫が犬に虐められているようにしか見えない。
「種族が違いますから」
いい加減頭を揺さぶられるのが煩わしくなったのか、黒子は青峰の鼻先にパンチした。
先ほどの赤司の一撃に比べどう見ても弱いが青峰は黒子から手――鼻だが――を離し、「怒るなよ」と言いながらぐしゃぐしゃにした毛並みを整えてやりだした。
「相変わらず大輝は黒子に甘いな」
自分の毛繕いすらサボるくせに、と二匹を見守っていた赤司が目を細める。
「相棒だしな。それにお前程じゃねーよ」
「赤司はみんなに甘いのだよ」
「黒ちんって甘いの?」
「食べ物じゃないぞ敦」
彼らのやりとりを見つめていた黄瀬は内心疑問でいっぱいだった。
皆、黒子に甘い。
確かに身体は小さいし、保護対象になるのはわかるのだが、あの青峰に“相棒”と言わしめたのだ。
どう見ても普通の、寧ろひ弱な猫に何故?
「黒子“クン”はなにができるんスか?」
「何、とは?」
「得意なこととか、なんかの大会で賞をとったとか」
「しいけ、だ。
「ふーん。で、なんて種類なんスか?」
「さあ? 雑種です」
「雑種、ね……」
雑種は黄瀬の居る事務所ではあまり――殆どいない。
MIXと呼ばれる血統種と血統種の掛け合わせならいるが、基本的には血統書付きが当たり前だ。
血統書付きと呼ばれる動物達には、そのプライド故か“雑種”を下に見るきらいがあった。
これだけの才能を持った犬達に囲まれた、ただ一匹のなんの取り柄もない凡庸な猫。
この時点で黄瀬の中でこの家のヒエラルキーは黒子が最下層に思えた。
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