狐「ちょっ、今日何かいつもより激しいぃぃぃ!!!」
2013.06.21.Friday
ねこまりも様、お子さんお借りしました…!
* * * * * * * *
はぁ、と溜息をつきながら、狐乃衛は姉と共棲しているマンションに帰ってきていた。
エレベーターを降り、つかつかと靴音を響かせながら無人の廊下を進んで自室の部屋へと向かう。
「謝っといた方が…いいのかなぁ」
浮かない表情をしたままの彼が考えていたのは、学園祭での出来事である。
―学園祭の真っ只中、ホスト風喫茶を務めていた最中に無頼科のすばるが突然現れた。
かと思えば、涙ながらに俺に叫んだ後そのまま失踪。
あとに残された客と俺は、ただ唖然とするばかりであったのだが、俺にしてみればすばるが何でそんな行動を取ったのかは大体分かった。
普段の行動が行動の彼女である、こんな出し物をしていればやきもちを妬くことくらいは十分に分かっていた。
しかし―
「まさか泣かれるとはなー…」
狐乃衛の考えとしては、彼女のことだからてっきりナイフを振りかざして詰め寄ってくると思っていたらしい。
だがその予測とは反した言動により、こうして現在も彼は頭を悩ませていたのであった。
(スイーツ食べ放題で機嫌直してくれっかなー…)
何とか機嫌を取り持つ方法を考える狐乃衛は、部屋の鍵を開けてそのままガチャリと扉を開いた。
刹那。
「ッ…!?!?」
とてつもない殺気に、狐乃衛は慌てて顔を上げた。
そこにいたのは―
「狐乃衛…アンタ、よくもまぁ堂々と帰ってこられたものね…」
「!?ね、姉ちゃんッ…!?」
※びっくりし過ぎて耳が取れたようです。
玄関に仁王立ちしていたのは、部屋の同居人でもある狐乃衛の姉であった。
そして彼女の背後からちょこっと顔を出しているのは、学園祭で会ったはずのすばる。
しかし何処か恨めしそうな眼差しである。
狐乃衛は姉の威圧感に青ざめながら何も言えずにいると、その彼女から言葉が紡がれる。
「話はすばるから聞いたわ……けどね、アンタが女の子泣かすなんざ百万年早ぇわボケェ!!!」
「ちょっ、お、俺は何も…!!」
「どーせアンタのことだから、商売とか抜かしつつ顔ではデレデレしてるんでしょーがぁ!!その緩んだ顔、いっぺん絞め直してやるわっ!!」
「ぎゃぁぁぁ!ちょ、姉ちゃんタンマ!」
狐乃衛の姉は、玄関に突っ立っていた弟を捕まえるとそのまま中へと引き摺りこんで、居間でプロレスを開始した。
「ギャァァァー!!やめやめやめギブギブギブッ!!腕がミシミシ言ってるぅぅぅ!!」
「わー!先輩すごい!腕がありえない方向に曲がってますよ!」
「ちょ、すばるぅぅ!無邪気に見てないで助けてェェェ!!」
「よーし、次の技いってみよー!!」
「アッーーーーー!!!!」
―こうして狐乃衛の絶叫にも似た悲鳴と共に、夜は更けていった。
*END*
* * * * * * * *
というわけで、狐乃衛はお姉ちゃんからプロレス技という名の折檻をされました笑
学園祭の出し物を建前に女の子とデレデレしまくっているであろうことは、姉も予想が容易いので絞めていただきました。
すばるちゃんもその乱闘ってか姉の勇姿を見て楽しんでもらえたら嬉しいな…!(ぇ)
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