受信してハイテンション

2013.06.21.Friday


* * * * * * *


「YES!来たぜ俺のジャスティスゥゥ!!!!」

「お前急に何言ってんの」


炬燵でうたた寝していた壱鬼が、携帯の画面を見た瞬間突如その台詞を言い放った所、傍らにいた狐乃衛がすかさずツッコミを入れた。

しかし壱鬼は構わず、食い入る様に携帯画面を見つめる。

そんなあからさまに挙動不審な彼の脇から、狐乃衛は画面を覗き見た。

するとそこには、彼が想いを寄せる人物からのメールが届いていた。


「あー、頼子ちゃんから?」

「文、ナイス機転!よくやった…お?丁度その文からもメールが来たし」


源 頼子からのメールに続き、壱鬼の携帯は国原 文からのメールも受信する。

しかし壱鬼はそちらのメールに目を通した瞬間、困った様な弱みを突かれた様な、複雑な表情を浮かべた。


「ゔ…と、とりあえずこっちの返信は後回しにして、まずは頼子から返信だ!」


壱鬼は気を取り直した様子で、早速頼子へのメールの返事の文章を作成する。

しかし中々良い言葉が浮かばないのか、頭を抱えながら書いては消しを繰り返し、たった一通のメール作成に手間取っている様子であった。



そうしてようやく文章が出来上がった頃、彼は雑誌を読んでいた狐乃衛の目の前にずいっと、携帯を突き付けた。


「出来た!…へ、変なとこがないか確認頼む…」

「んー、どれどれ?」


狐乃衛はやる気無さげながらも壱鬼の手から携帯を受け取り、その文章に目を通し始めた。



from:***.fire-soul/@****
title:壱鬼です
_______________
メールありがとうございます!!

そんな、俺は大したことしてないっすよ!

ただ、陰陽科には行きづらいので文に代行してもらっただけで…(汗)


お、お礼だなんてとんでもない!

…ですがもししていただけるならば、その…交換日記をしませんか、というのは嫌っすかね…?

end
_______________




「…何故に交換日記?」

「う、うっせーな!お互いを知るにはまず文通とか交換日記だろうが!」

「メールという文明の利器があると言うのに…」


壱鬼の“お礼の案”に狐乃衛がぶつぶつとけちをつけていると、皿洗いを終えた竜彦が炬燵の席に座りながら言う。


「…だが狐乃衛。メールよりも人の手で書かれた文字の方が、温かみや気持ちも込もっていて良いと思うぞ」

「おぉ!竜彦良いこと言った!10ポイント!!」

「何のポイントだよ。…ま、壱鬼クンがそれでいいんなら良いんじゃない?ってことで、送☆信っ」

「ちょっ、おまぁぁぁ!?勝手に送るんじゃねぇよ!まだ心の準備がっ…!!」


慌てて携帯を奪い返す壱鬼だが、時既におすし。否、遅し。

狐乃衛は肩を竦めて、悪びれた様子もなく話す。


「ごめーん、もう送っちゃった☆てへぺろ!」

「ウッゼェェ!!お前ちょっと黙ってろ!!」


狐乃衛の態度に不快感&苛立ちを顕にするが、後回しにしていたメールの件をふと思い出す。


「っと、こんな事してる場合じゃねえし。文にも返信返信っと…!」


やや困った様な表情を浮かべつつも、壱鬼は国原 文のメール返信の文章を作成し始めた。




from:壱鬼
title:確かに嘘は嫌いだが…
_______________

こういう嘘は、悪くない…と思う!

いやむしろありがとうございます文様仏様…!!m(__)m

この恩、忘れねぇぜ!!




P.S 今度ラーメンでも奢ってやんよ!(*`∀´)


end
_______________




「…よしっと!」


送信しました、の文字を確認すると、携帯をばちんと閉じて満足げな表情を浮かべる壱鬼。

するとそれを横目で見ていた狐乃衛が、ぽつりと一言。


「いやぁ〜…壱鬼クン、ピュアだねぇ」

「あ?何か言ったか狐野郎…」

「別にー?ただヘタレだなぁと思っただけです、よっ!」

「いってぇ!てめっ、何しやがる!」


そうして炬燵の中で、二人の蹴り合い合戦が始まる。


「おい、止めろ二人とも…」


困り顔の竜彦が二人を諫めるが、そんな事で治まる訳もなく。

そうして竜彦の鉄拳制裁が下るのは、もう少し後の話である。



*END*


* * * * * * * *

これをきっかけに壱鬼は頼子さんと交換日記始めてたらいいなぁと妄想(蹴)

受け取って持ち帰るまでドキドキ、読んでニマニマしてそうです…笑

22:11|comment(0)

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