1 3/3

「じゃあ俺も作ります。作ってみたいです」
「そうか?じゃあちょっと待ってろ」

台所いって、なるたけ綺麗な茶碗を2つ選んで飯をよそった、けどこれもやらせるべきだったかな。
取り敢えずそれらと醤油、海苔なども部屋へ運ぶ。

「わあ」
「ほらまず、海苔の袋を開ける」
「海苔ってこういう袋に入ってたんですか」
「……ご飯にのせる」
「恭祐さんは、毎日これを?」
「いや、さすがに毎日ってわけじゃ…」

晴は俺のとこをチラチラ伺いながら、海苔を手に取り、ぐっとご飯に押し付けた。力を込めすぎたのか、ズボッと海苔を突き破ってご飯に指を突っ込み、ぎゃあ!と悲鳴を上げた。

「熱い!破けました、変えの海苔がありますか?」
「いやまておちつけ、破けても十分食える。熱いのは、そこのお絞りで拭け」
「…ちいさなお絞り。どうして袋に入ってるんですか?」
「どうしてってファミレスのだし」
「?」
「ああいや、なんでもない」

なんとか晴が落ち着いたところで醤油をかけ、はいおわり。

「完成」
「これは?」
「海苔弁」
「ほう‥!初めてです、海苔弁」
「だろうね」

麦茶を出して、テレビをつけずに海苔弁を食した。なんか嬉しそうだし、まあいいよね。

「美味しい…こんど家でも作ってもらおう!」
「…そのとき俺の名前は出すなよ」
「…なぜ?」
「…なんとなく」

なんか、怖いし。

その後、結局晴は泊まっていった。テレビが小さいお風呂にお湯が張ってないベランダに水の入った黒いペットボトルがある電気がくらい、と目につくもの全てに喜ぶ晴を見て、なんていいお客様だと思った。


end

*前 次#