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「恭祐さん、あの、怒ってますか?」

随分ちっさくなった晴の声に、背を向けたまま黙って首を振る。
だめだ俺、こんなことで腹立ててたら明らか貧乏人のドケチな心の狭い奴になってしまう。

「…いや、ほら、もう朝飯食べ………」

えっーーー!と叫んで目玉焼きの皿を落とすところだった。あぶね…!
晴は俺を見つめたまま目を真っ赤にして、そう、今にも泣きそうだった。

「えっ、ちょ、」
「恭祐さ、おこ、てますよね、」
「ああ‥っていやいや、怒ってない怒ってない。ちょっと俺もケチすぎたよ、うん」
「そ、うですか?」
「うんうん。さ、飯食おうか…」

俺…泣くほど怖かったのか…?
いただきます、と手を合わせ、鼻をすんと鳴らしてから晴がぽそぽそと喋った。

「ごめんなさい、…俺、怒られ慣れて、なくて…」
「いや‥‥」

ああなるほどね‥だいたいなんでも許されて育ったってことか。
だからちょっと怒られるとすぐビックリして泣いて、‥それでいて冷蔵庫については謝らない、と。
わかんないよ、こいつと俺、やっぱ色々違いすぎる。


end
冷蔵庫のこと根に持ってる。

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