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…ショックだった。この傷どうしたのなんてその答えを聞く勇気がない。
どうして、俺は柚麻をここまで傷つけて何がしたかったんだろう?
自信が持てるからという理由で、こんなことさせたかったわけじゃない。

「柚麻、…ごめん」
「…なにが?」
「さみし、かったんだよな、俺がいなくて、辛かった?」

抱きしめた。あのときは背中に回ってきた腕は、今はだらんと下がったまま。

「もうどこにも行かないよ、ここにいるから、」
「…うそ、つき」
「嘘じゃないよ」
「うそ、うそうそうそ…!無理だよ、絶対またどっか、行くんだよ」
「柚麻、」
「俺、わかるもん。竜也はじゃあ、俺が一緒に死んでって言ったら死んでくれる?」

柚麻は兎みたいだ、本当に。
寂しがり屋で、寂しくなったら死んでしまう。自分で自分を殺して、きっと本当に死んでしまう。

「…ほら、うそつきだ」
「……やだよ、一緒に生きたいから、…わかる?」
「むり、むりむり」

弱々しく首を振った。無理、なのか?いや、そんなわけない。そんなわけ。

「ごめん、信じて、くれなくてもいいから…一緒にいよ、いてください」
「やだぁ…怖い、」
「怖くしない、きっとすぐわかるから、ね?」

うそ、うそうそ。
柚麻はそれを繰り返していた。俺はずっと抱きしめて、嘘じゃない、ごめんなさいを、繰り返す他ない。
悲しいなんて、俺が思っても大丈夫だろうか。

結局その後柚麻が「うん、わかった」というような返事をすることはなくて、時間をかけてまた信じてもらおうと考えることにした。
いつかまた、笑ってくれますように。

Regret which was too slow
気付いたときには

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