08 3/3 …ショックだった。この傷どうしたのなんてその答えを聞く勇気がない。 どうして、俺は柚麻をここまで傷つけて何がしたかったんだろう? 自信が持てるからという理由で、こんなことさせたかったわけじゃない。 「柚麻、…ごめん」 「…なにが?」 「さみし、かったんだよな、俺がいなくて、辛かった?」 抱きしめた。あのときは背中に回ってきた腕は、今はだらんと下がったまま。 「もうどこにも行かないよ、ここにいるから、」 「…うそ、つき」 「嘘じゃないよ」 「うそ、うそうそうそ…!無理だよ、絶対またどっか、行くんだよ」 「柚麻、」 「俺、わかるもん。竜也はじゃあ、俺が一緒に死んでって言ったら死んでくれる?」 柚麻は兎みたいだ、本当に。 寂しがり屋で、寂しくなったら死んでしまう。自分で自分を殺して、きっと本当に死んでしまう。 「…ほら、うそつきだ」 「……やだよ、一緒に生きたいから、…わかる?」 「むり、むりむり」 弱々しく首を振った。無理、なのか?いや、そんなわけない。そんなわけ。 「ごめん、信じて、くれなくてもいいから…一緒にいよ、いてください」 「やだぁ…怖い、」 「怖くしない、きっとすぐわかるから、ね?」 うそ、うそうそ。 柚麻はそれを繰り返していた。俺はずっと抱きしめて、嘘じゃない、ごめんなさいを、繰り返す他ない。 悲しいなんて、俺が思っても大丈夫だろうか。 結局その後柚麻が「うん、わかった」というような返事をすることはなくて、時間をかけてまた信じてもらおうと考えることにした。 いつかまた、笑ってくれますように。 Regret which was too slow 気付いたときには *前 次# ← |