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「えーっ竜也、もしかして帰っちゃうの?」
「疲れたから」
「なら泊まってけばいーじゃーん。そんなに家が恋しいの?」

このひと、よくこんな元気ね。疲れて眠ってもらったほうが男のプライド的にはいいんだけど今回は俺のほうが疲れてしまった。
ああでもこのひとも俺が捕まえた一人、やっぱ所詮は遊び相手だけどなんか嬉しくなるよね。俺のレベルが上がったって感じがして。

「じゃーね」
「もー冷たいな〜」

時計を見る。あ、20時だ。昼飯どころか夕飯も危ういじゃないか、さすがに居すぎたかなあ。
柚麻はなにしてるだろう、今日は久し振りに抱っこして一緒に寝て甘やかそうかな…あんまり遣りすぎて子供扱いするなと言われたこともあったけど。
そういえば柚麻に似合いそうなぬいぐるみを買ってやった時、白い目で見られたっけ。
ぬいぐるみ好きそうなのに、結構ふつうの男子だな〜ってそのギャップにきゅんときたんだよな。
一緒にいればいるほど面白みが増すタイプ。俺が世界一愛してるひと。
何してるかな。
泣きわめいて怒鳴り散らされたりしませんように。
俺疲れてるから、それされたら確実に死んじゃう。

「ただいま…柚麻〜」

電気が消えてる。柚麻?どこにいんの?何してんの?隠れてる?
荷物は普通にある。リビングにいない、風呂場にも、キッチンもトイレも、置き手紙もないし、じゃあ自室?

「…柚麻?もしかして寝た?」

自室にも、やっぱりいなかった。

「…おーい」

ハッと気がついて慌てて玄関に引き返した。靴がない。
いつも俺に言われるまで絶対揃えない柚麻の靴。
…どこいった。
電話は繋がらない、メールは送ったけどきっと返ってこない、どうして、どこいったの?なんでいない?
…わかった、買い物にでも行ったんだ。きっとそうだ、そうでなきゃ困るよ。
人生で一番焦った。
不安が襲う中買い物に違いないと言い聞かせて、リビングの床で仮眠をとることにした。
帰ってきたらすぐに起きれるように。

Satisfactory unhappy rabbit
思い通り…?

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