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「…お茶飲もっか?」
「…ああ」

少し空気がギクシャクしているけれど、さっきただいまって言ってくれたってことは別れ話とかそんなことはないはずだ。
俺は竜也が戻ってきてくれたことが嬉しすぎてもうすぐに許してしまいそうだけど、考えろ、
竜也は浮気してたんだぞ。しかも家をいったんは出てった。そんなすぐ許していいものだろうか。
お茶をくんでリビングで待ってた竜也に渡し、俺は向かい合って座る。

「…あの、柚麻…その」
「うん」
「…ごめんな、ほんと。ぜんぶ、俺が悪かった」

ベタな謝罪だ。
こんな簡単な言葉で流されるようなやつにだけはなりたくないのに。

「俺、柚麻とは別れる気ないよ」
「……うん」

どうしてこうも簡単に頷いてしまうのか。

「浮気はもうしない?」
「しない、絶対しない!」

口だけならなんとでも言える。涙を浮かべることだって簡単だ。
正直浮気が直るだなんて思えない。竜也が本当に他の人のところに行くのをやめるなんて根拠は絶対どこにだってないのに、俺は、やっぱり嬉しくて頷く。

「うん。わかった」
「…ありがとう柚麻…」

かえってきてくれて良かった。なんて言ったら竜也は調子にのるだろうか。
それでもいい。なんだっていい。今は竜也がここにいてくれたら。


Momentary satisfaction
その場しのぎ

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