03 4/4 竜也は早足で俺のところへ来て携帯を取り上げた。まだ顔は蒼いまま。 「…柚麻、」 「………見たよ」 竜也は困惑の表情を浮かべ、しばらく俺の顔と携帯とを交互に見た。 言葉を考えているらしい。 「…勝手に見んなよ」 あまりに冷たい声で、俺はちょっとドッキリした。 だってまた謝るのかと思ったから。 「…だって、」 「理由がなんにしろ人のもん勝手にいじんなっての!」 「だって、でも、…俺ただ確かめようとしただけだよ」 あれ、なんで俺が怒られてる? こんなに怒ってるのたぶん初めてみた。 涙が出た。怖いとかじゃなく、悲しくて。 「…でも、じゃあなんで携帯見ちゃいけないの!?見られたくないものがなんであるの?」 「は…、」 「なんで嘘ついたの?メールとかしないって約束したんじゃん!なんで!」 俺だって怒ってる。でもすごい泣いてるからちゃんと伝わってるかわからないけど。 なんでだこの嘘つき!とかふざけんなとかだんだん口の悪い言い合いを続けた末、竜也が「もういい!」と声を張った。 「…もういい、柚麻なんて、勝手にしろ」 「違うよ竜也が散々勝手にしてきたんだ!」 自分の部屋に入っていった。 しばらくしたら鞄を一つもって出てきて、俺のほうは見ずに玄関へ向かっていく。それを見たら俺は急にサッと血の気が引いた。 「え、ちょ、竜也」 「…………」 「…またあいつのとこ行くの」 「関係ないだろ」 関係ない?そうなの? なんで、と肩を掴んだ手はあっという間に振り払われた。 なんで。 「なんで!…なんでだよ、竜也!」 そんなにいけなかったの?竜也が約束やぶったことを調べたのが、気がついたのがそんなに? あっという間に出て行った。あっという間に取り残された。 それでただ、1人でずっと泣いた。 …俺がいけなかったんだろうか。さっきの竜也が怒ってた顔を思い出す。 浮気を見てみぬふりできない俺が、 意識がとぶ。 I should be hated. 僕が憎い? *前 次# ← |