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一週間か二週間、竜也は必要以上な外出はしなくなった。でもまだ安心できない、もしかして大学が同じ人かもしれない、はやく、はやくそいつをどうにかしてしまいたい。

「柚麻?風呂さきに入っていいか?」
「あ、うんいいよ」
「さんきゅ」

鎖骨の痕には、俺がそこに噛みついて新しい俺の痕を上書きしてやった。首筋にも、たくさん。どこぞの奴の痕は消えていく、ざまあみろ、俺は心で笑った。
もっと消してしまわなきゃ、なにも残らないくらいに。
竜也が風呂に入ったのを見計らってリビングに放られていた竜也の携帯を開いた。脱衣場に行く直前までいじっていたからだろうか、タイマー式のロックはまだかかっていなかった。

「…………、」

きっと奴とのメールがあるはず、まだ残っているなら、片端から全部消してやる………。送信ボックスのほうを開くと宛先人に知らない女の名前が並んでいた。こいつに違いない……日付を確認して、時が止まった。
一番最近のは、今日の日付になっていた。
昨日もある、一昨日も、その前も!連絡も取らないと約束した以前から、その量は全く変わっていない。なぜ?どうして、と同時に、ああやっぱりそうなのかとも思う。
少しも躊躇わず中身を片端から開いていった。

ごめん、まだ会えない。とか、もう少し待って、だとか、そんな内容がいくつも並んでいる。
まだ会えない?一生会わないって約束じゃないか。
俺も会いたい、
なんて文字を見つけた時には怒りで携帯を握りつぶそうと思った。
竜也はその人に会いたいの、俺との約束を破ってまで?

‥あんなに連絡とらないって約束したのに。
ムカついた。
失望した。
なにより悲しくて、
泣いた。

意識が飛ぶ。

気付いたら竜也がお風呂からあがって着替えてる音が聞こえて、俺の左手首の痛みが強くなる。
こんなことずっと繰り返すのかな。


戻ってきた竜也が携帯を握った俺を見たときの顔と言ったら。
命の危険でも感じたんだろうか。
顔面蒼白、焦ったように、怒ってた。

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