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「………あ」


気まずい沈黙を、ポカンと口開けてた雅樹が破った。


「なっ……なーにお前、俺に惚れちゃったのー!?」


わはははは!と大声でわざとらしく笑う雅樹になんて返せばいいかわからなくて、
ここで、「わははははドッキリ大成功ー!」なんて一緒になって笑えば、とはこのとき考える余裕があったはずもない。


「…っそうだよ馬鹿!悪いかよ!」


叫ぶ、顔が暑くなる、沈黙。

さいあくだ。
なに言ってんだ俺、なにやってんだ!


「え、仁、」

「好きだよ、そうだよ、悪いかよ!」

「お、落ち着け、落ち着いて会話をしようぜ」



落ち着いてられるかよ!頼む夢であってくれ、今日のことは全部!


「好きって、あのさ、俺も仁は好きだけど」

「ちがっ…」

「ああわかってるよ!そういう意味じゃないんだろ?その、俺と同じ意味じゃ」


眉間に皺をよせ唇を噛んで、コクリと頷いたときにポタリと涙が零れて気まずくなった。俺泣いてやんの…馬鹿じゃね!


「えっとさ、なんかごめん」


なんかごめんって?
それは何に対して謝ってる?


「うん。とにかくごめん」


いやだ。
ごめんとか言うな、なんかふられたみたいじゃんか………いや、もしかしてふられてるの?俺。

雅樹は最後にまたごめんと言って、俺の頭に優しく手を置いて部活に戻っていった。

わけがわからん、自分が何をしているのかも。
ただ俺は走って寮に帰って、それから泣いた。


 

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