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「‥ほらそう、ずっとつっけんどんだし。隠れて写真とか撮ってるくせに」

「うっさい!」


雅樹に嫌味っぽく言われて、でも否定できないから、悲しかった。
自分が嫌になった。

ガキだとか思われてるかな。

‥俺みたいな理由でキスを拒むとか、呆れてるかな。

でも、好きって多分まだ思われてないのにキスされるのはやだ。
そんなの、‥ただ身体だけ‥みたいで。
へこむ。


「なんだよ、なあ仁ってさ、童貞?」


かあっと顔に熱が溜まった。
いつの間にか涙も溜まっていたらしくて、ぽたりと右目から、一粒零れた。
馬鹿にしたような言い方が、悲しい、恥ずかしい。

ただ雅樹も少し意地になってるんだってわかったけど、わかったところで、収まらなかった。


もう言うことがないというより、言いたくない。
2人ともそうだったと思う。
これ以上言っても、傷つけ合うだけ。

帰るとも言えず、ただ黙りこくった。


それで、思った。
俺、雅樹に、好きって言ってもらえるの待ってた。
言ってもらえるように頑張ろうとか。でもまず‥俺が、雅樹に好きだって言えてない。
もっと伝えるべきだと思うのに、好きなのは俺なのに、つっけんどんで‥こんなの腹立つに決まってる。

でもいつ言えばいいんだよ、そんなの。


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