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あ、雅樹だ。

お、久し振り。


昼食のあとにちょっと買い物してたとき、そういう声がしたから見てみたら雅樹が知らん女の子と手、振ってた。
誰ぞ。
女の子だから絶対俺たちの高校じゃない。

その子はチラッと俺を見た。結構、可愛い子だった。

友達?

ん、まあね。

そっか。ねえ、前の彼女とどうなったの?

別れたよ、ちょっと前に。

へえ、だよねえ、ちょっと雅樹のタイプじゃなかったもんねえ。あ、ごめん私行くね?


2人が話してる間、(そんな長い間ではなかったが)俺は半分聞いてないようなフリして興味ないキーホルダーを手に取って眺めてた。

なんと、元カノの話を聞いてしまった。ちょっと前に別れたってことはちょっと前までいたのかあ…
それっていつごろだろ。
でも、ちょっと雅樹のタイプじゃなかったって言ってたからいっか。

俺のこと友達って紹介してたけど、まあそれが誰にとっても一番良い返答だろうなあ。
俺ももし友達にそう聞かれてたら、絶対同じように言った。

女の子とバイバイしたあとも俺は言葉が見つからなくて、興味ないお箸箱なんか眺めてた。


「ごめん、あいつ、中学の同級生」

「へえ。可愛い子」

「まあ顔はな」


ははは、とか笑ってその場の空気は和んだけど、なんかもうまさしく俺たち友達同士って感じが否めない。
なんで、俺、もっと上手くできねーのか、なんかこう、もっと。


end

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