03(3/3)
やっと終わった。
日に日に募る疲労感。
俺の胸に飛びついてきた亮太の小さな頭を機械的に撫でてやる。
「賢斗…」
「何?」
「おれね、クッキー作ろうと思ったの」
「へえ、やったあ」
「だから今から作るね」
「ん、ありがと」
「あと、おかえり」
「…ただいま。」
ほらこれだ。
可哀想ごっこ中じゃないときの亮太は、とてもいい子だから。
つい、何も言えない。
お菓子づくりに励みだした亮太に、夕飯は寿司でも頼もうかと言ったら「やったあ!」と言って喜んだ。
こういう普通にしてる時が一番可愛いんだけど。
でも、
優しすぎると言われる俺にも、
どうやら限界点というのがあるらしかった。
END
*前
←戻る