03(4/4)
「愁くん」
「いーやーだー!たーすーけーてー!!!!」
「!ちょっちょっ、」
突然の愁の大声に、廊下にいた全ての生徒がそこを振り返った。
先輩は周りに「違うんだ!これは違うんだ!」と叫んだ。どんな演劇だ。
「愁。来い!」
「あ、直樹」
先輩の手を振り払ってトコトコやってきた愁の手首を引っぱり、背中に隠す。
ハッとした顔の先輩に得意技の睨みつけるを繰り出した。
「…愁に近づかないでいただけます」
「…あー、はいはいわかったわかった。
じゃあね愁君。また」
じゃあねってまた来る気満々じゃねえかと思いながら、去っていく水野先輩に手を振る愁の手をはたいた。
「ねえ、俺約束守ったよ」
「ん。偉いな」
「だな。」
「おい愁。お前は誰のお嫁さんだ?」
「うん、直樹」
「それはどうしてだ?」
「うん?そう決まってるから」
首を傾げながら愁が言った。
確かに決まっているけれどその答えはどうなんだ。
お前は俺が好きだからお嫁さんに(法律的には無理だが)なるんじゃないのか。
そこら辺ちゃんとわかってんのかな、と不安に襲われつつ、冷たい空気の中愁の腕を引いた。
END
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