昼夜分の食材が入ったコンビニ袋を両手に提げて一段一段階段を上っていけばビルの外まで漏れていた声は怒鳴り声と分かり、更にそれが末崎さんのものだと判明した。
怒鳴られてる方の予想はつく
よく飽きないもんだよ。聞いてる方が逆に飽きるね流石に


「こんにちはー」

「板倉か!お前も苗字に
なんか言ってやれ!」

「なんか」

「板倉ああ!」


我ながら馬鹿馬鹿しい嗜めにヒートアップした末崎さんは言葉にならない怒りで顔を真っ赤にさせた


『アッハッハ!』

「苗字〜!」

いきなり吹き出した苗字に視線を移す。今まで怒られてたよね、君
仕方ない...苗字の超楽観的性格に免じて逃がしてあげよう


「お前っ...許さん...!」

「まあまあ、兄さん
苗字には何言っても無駄
キリが無いんでもう
離してやったらどうです?」

『えー私まだいけるのに』

「お前なあ」


末崎さんの怒った顔がお気に召したのか笑い泣きの涙を拭って俺を見上げる苗字の頭に軽く拳を乗せた
全くコイツは、何も反省してないんだから。その軽さが末崎さんに嫌われる原因だって分かりなさいよそろそろ


「じゃあ俺苗字と売上
確認してきますから」

末崎さんから離れて事務所から出た時苗字は重いような軽いような溜め息を吐き出した
俺としたことがとんだいい人になってしまったような

『ああ面白かったー
板倉さん、笑わさないで
くださいよ...』

「え?俺なの?」

『"なんか"って、小学生じゃ
ないんだから。アハハ!』


先程まで説教されてたのにそんな雰囲気は毛ほども身につけず大口を開けて笑う苗字の人間性を疑う
まあでも、その軽さが好きなんだけどね

売上確認という名の休憩はどこに飯を食べに行こうかという散策に費やされる








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