身が千切れるような寒い夕刻景色なのに、必死でペダルを漕いでいれば汗が滲む程熱く火照って息切れを起こす。

部活が終わってさっさと帰ろうと向かった先の自転車置き場には座り込んだ零くんが居てなんだかんだで乗せてしまったけれども、なんで乗せてしまったのかしら


『ちょっと零くん!いい加減
変わってよもう無理!足!』

「あんまり立ち漕ぎすんなよ
ナマエの運転はただでさえ
安定感無いのに」

『なっ...!っとと、危な!』


風がビュンビュン耳元で叫ぶから零くんの声は聞こえにくいはずなのに憎たらしい事を言ってるということは伝わってきた。


『坂道っ...きついっ...』

「頑張って!」


あーあ、こんなにヨロヨロ進んでたら見たかったアニメももう始まってるだろうな

もうっ!笑い声聞こえてるっつうの!そんなに楽しそうに笑ってくれたら、別にアニメなんてどうでもよくなっちゃうじゃない


それどころかもっとこうしていたい...というのは恥ずかしいし悔しくて言えないから、殆ど暗くなった住宅路の隅の方に見つからないよう落としておく









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