せめてあのひとのセリヌンティウスになりたい。一番信頼に足る親友でありたい。
夏休みの読書感想文を勝手に読んだ不動は、おまえは鬼道の何になりたいのかと問う。選んだ本は誰もが知る走れメロス。俺はそれを読んでセリヌンティウスになりたいと馬鹿みたいに書いて学内コンクールで銅賞をもらった。妹思いのメロスがあのひと、その親友セリヌンティウスが俺、暴君ディオニスはおまえ、不動がぴったりだ。おまえに殺されるなんてまっぴらだが、俺はあのひとのためだったら身代わりになろうが構わない。不動はまたしてもあきれた顔で、理解できないと口にした。俺だけがわかっていればそれでいい。










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