彼はたぶん嘘がつけないタイプの人間なんだろうなぁ、と見ていればよくわかる。彼の言葉はとても素直で濁り気が全くない。思ったことをぽんぽん口から出してしまう性格だから、他の人間が言えば歯が浮くような気障ったらしいセリフだって、まっすぐ相手に届いてしまう。彼はぼくのことが綺麗だと言うし、ぼくの髪の毛を触るのが好きだと言う。嘘やプライドなんて彼の前ではオブラートよりも薄っぺらくなって、それらでぐつぐつ煮えて固まってしまったぼくの中身から、一握りの本物だけ難なく掬いあげてしまうのだ。彼の前ではぼくはただの人間だった。










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