「あれ、山菜じゃん」
体育の時間、木の下に座りこんでいたのは、我らがサッカー部のマネージャーである山菜だった。体育の時間なのにしっかりとデジカメを持っていて、怒られないのかなぁー、とそんなことを思ってみたりもするけれど、まぁ山菜だからなぁ、と一人納得。
「浜野くん」
「瀬戸とかとは一緒じゃないの? 俺は速水と倉間が今バドミントンの試合やってるから暇なんだよねー」
「うん、わたしも水鳥ちゃんが試合してるから、休憩」
よっこいせ、と山菜の隣に腰掛ける。デジカメの画面を覗き込めば、先ほどまで撮っていたのか、神童の写真が多くある。さっき転んで半べそかいてるのばっちり撮られてんじゃん。あいつ本当に勉強とピアノとサッカーはうまいのに他のところが抜けてるというかなんというか。
「どうやってこんな風に絶妙に神童の半べその顔撮れるん? 全然撮ってるとこ気付かなかった」
「おんなのこのひみつ。内緒」
「秘密かぁー。秘密ならしょうがないなぁ」
にひひ、と笑えば山菜も小さく笑う。ねぇねぇ、俺のことも撮ってよ、とお願いすれば、メモリーがもういっぱいだから、駄目、と返されて、ちぇっと俺は頬を膨らませるのだった。




浜野×茜











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