※ちょっと痛い 意味不明




「好きなんだ」理解不能なことを言う源田がやっぱり理解不能だったので、俺は源田を殺してしまった。不可抗力だ。もしくは事故。意味不明な源田の言動、これが夢でなかったら何なのだろうと、俺は自分の頬を抓るかわりに、持っていた包丁で自分の腕を切ってみた。当たり前だが痛くて血はドバドバ出て、そこでようやく夢でないことに気がついたのだった。俺の突然の奇行に、源田自身は出血もしていないのに顔を青くして、俺から包丁を奪おうとした。そこで、すったもんだの末にグサリ。源田は死んでしまった。呆気なかった。台所に男が一人転がっている姿はなかなかにシュールで、俺は考えることを止めて、寝ることにした。きっとこれは夢なんだ。次の日起きてみたら、やっぱり源田は生きていて、早く起きないとご飯が冷めるぞ、なんて笑いながら言うのだった。ちくしょう、慌てたじゃねーか。俺は後ろから源田のやつを蹴ってやった。今日の朝食はハニートースト。あれ、昨日も同じじゃなかったっけ。いや、あれは夢だったか。ところが昼食も、夕食も同じメニューとくれば、背筋がだんだんと寒くなってくる。デジャヴ。食器を洗っているときに、源田は俺の後ろに立って、口を開いた。おいやめろ。「好きなんだ」何がなんだかわからなくなって、俺はちょうど洗っていた包丁を手首に突き刺した。やっぱり痛かった。源田はやめろと慌てて俺に掴みかかってきて、そしてまたうっかり、俺は刺してしまった。こんなの、昨日もなかったっけ。いやや、あれは夢だっただろうか。怖くなった俺は布団の中に潜って震えた。次の日源田はやっぱり生きていて、朝食はハニートーストだった。その次の日も、そのまた次の日も、源田は生き返って、朝食はハニートーストで、夕食の後源田は死んだ。ループ。ループ。ループ。ここは一体どこの地獄だ。
「好きなんだ」何度目かの告白の後、俺はためしに、この理解不能な源田を受け入れることにした。「なんでそんなこと言うんだよ」「……笑わないか?」「良いから教えろっての」「おまえがだな、その、死ぬ夢を見たんだ。目の前でお前が自殺する夢ばかり、最近見る。だから、その、いつかお前がいなくなってしまいそうな気がして、だから、後悔しないうちに、言っておこうと思ったんだ。その……、返事を聞かせてくれないか」俺はいったい何と答えただろう。次の日目を覚ましたら、源田は生きていて、けれど和食だった。味噌汁が美味しそうな匂いで、食欲をそそる。「なぁ、ハニートーストは?」「昨日食べただろう。お前が今日は絶対和食が良いって言い張ったんじゃないか」そうだったっけ。そうだったかもな。結局何が夢で何が現実だったのだろう。源田が俺に好きだと言ったのも全部夢の中なのだろうか。宙ぶらりんの俺の答えは一体どこへ行ってしまったんだろう。「それよりも不動、昨日のようなことはもうするなよ。深くなかったから良かったものの、出血も酷かったんだから。後で、もう一度、手首の包帯を換えよう」「……へいへい」ところで源田、ここは夢なのか現実なのか、いい加減教えてくれよ










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