まぁ、なんつうの、囲われるってやつ。仕事で忙しい鬼道クンは、たまの休日俺に会いに来るわけ。場所は、そうだな。鬼道クンがどっかに買った誰も知らない別宅。俺はそこで好きなものを食えるし、好きな服が与えられる。自由ってやつ。外に出られないことを除けば。鬼道クンは普通に結婚して相手に子供産ませて、表向きはよくある幸せな家族っていうの、そういうのを築くわけだ。でも、出張だとか何とか理由をつけて俺に会いにくる。んで、俺は、話ししたりセックスしたりして日曜日の夜には鬼道クンを見送る。窓の外を見て、あぁ次はいつ逢えるんだろうとかセンチメンタルなこと考えてみたりだとか。うわぁ、考えてみただけで気持ち悪い。それから、しばらくして奥さんが気づくんだよ。毎週毎週、うちの夫はどこかにでかける。これは不倫してるに違いないってさぁ。こっそり後をつけてみれば、そこにはこじんまりとした家と見るからに怪しげな男が一人。男というのはさておいて、これが不倫相手だと確信した奥さんは手を振りかざしてぱっちーん。この泥棒猫! 昼ドラかっての。昼ドラ見たことねぇけど。そんな奥さんを見て俺は言ってやるわけ。なぁこの家何年頃できたと思う、あんたの家より古いだろ。つまり俺はあんたよりずっとずっと前からあんたの旦那さんと愛しあってるの。泥棒猫はあんたのほうなんだよってさぁ。あぁ愉快。どうよこの素敵な話。即興で作ったわりにはなかなかいいだろ。つまりだ、なにが言いたいかというと、これが最善なわけ。鬼道クンと俺の未来の。だってそうじゃねぇか。結婚だってできるわけないし、鬼道家の御曹司は男のことが好きだなんて知られてみろ、信用がた落ちだぞ、世間から見て。よくて愛人。もしくは一生逢わないでサヨウナラ。悪ければ、って? 俺がさ、金たかりにいくの。昔話をして鬼道クンのこと脅しちゃうわけ。逃げても逃げても追いかける。鬼道クンの心がもう俺になくても嫌がらせのように。どう、ぞっとする光景だろ。まぁ安心しろよ。そこまでみっともなくすがり付くなんてしないからさ。でも、そうだな。もし鬼道クンがさ、俺のことずっと愛してくれるなら、週に一度会えるか会えないかわからない愛人でも、奥さんに頬叩かれても包丁で刺されても、きっと満足しちゃうんだろうな。なんてね。







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