久遠道也は街頭で配られるティッシュを断れない。

 こいつと出かけるといつもそうだ。よろしくおねがいしまーす、これどーぞー、なんて言って配られるティッシュをホイホイ受け取る。それがどんな企業から配られているのかなんてチェックしない。もらって一秒後にはポケット行きだ。こいつのポケットは意外とごちゃごちゃ物が詰まってる。自販機で缶コーヒーを買ったお釣りだとか、娘に貰ったものの食べずに溶けかけてるキャラメルだとか、そんなもんだ。だからポケットティッシュも、ポケットに入らなかったら何故か俺のポケットに詰め込む。文句を言ってもお構いなしだ。おかげで俺のポケットにはいつもティッシュが入っている。いつでも鼻が噛めていいじゃないかとか適当なことを言うが、街頭で配られるティッシュは質が悪いから俺は嫌いだ。男のくせに敏感肌だから、配られるティッシュは余計に酷くなる。せいぜい机の汚れを拭く程度だ。今みたいに。食事中に雑誌や新聞を平気で読むこいつは結構ぼろぼろと物を零す。外では俺に対して行儀よくしろとか言うくせに二人きりではこれだ。もらったティッシュで零れた野菜の切れ端をくるんで丸める。それにすらこいつは気づいた様子はない。そのくせ、読み終わった後に、使い終わったティッシュはちゃんと捨てなさいとか何とか言うのだ。うっせぇばーか。丸めたティッシュをそのまま顔面にぶつけてやった。







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