しくしく


伊「ねえ、留三郎。知ってる?」
留「何を?」
伊「今日は嘘をついても良い日なんだって」
留「はぁ?なんだそりゃ」
伊「あ、そうだ。ごめんね留三郎。今君が飲んでるお茶に新開発の薬入れちゃった」
留「ブウッ!ゲホ、な、なんだと…!」
伊「わーいひっかかったー!嘘だよー」
留「…たくっ、伊作のばかやろう」



文「お、おいっ!アヒルっ」
留「ん、あ、文次郎。アヒルってなんだよ!やんのか!」
文「!……あ、あぁ。今、俺は凄くお前と喧嘩、し…したい」
留「は、はあ…」
文「な、何故なら俺はお前が嫌いだからだっ。お前なんて世界で一番嫌いだ」
留「っ…?!なんだと、この…っ」
文「…!」

俺の拳が高くあげられた時、

喜「食満せんぱ〜い。喧嘩はやめてくださいよー!」
し「そうですよー。今日は面白い嘘を言うお祭りなんですからっ」
留「あ、ああ…そうだな、確か今日は嘘を………………あ」

とたん俺から飛ぶように離れた文次郎。
その顔はゆでダコのように真っ赤で、まあ、理由はわかる。むしろ気付かなかった俺は馬鹿だ。

留「文次郎…」
文「うっ、うるさいうるさい!!それ以上喋ったら絶交だ!」
留「ってこたぁ、喋っても良いってことだな?じゃあ遠慮なく」
文「〜〜〜!!ち、違…」
留「文次郎!」

「俺も一生大っ嫌いだぞ!」

だから喧嘩はやめてくださいよー、なんて言う後輩そっちのけで、俺は文次郎を見る。
真っ赤になりながらプルプル震えて俺を睨む。
ああ、最高。
嘘つきの日、バンザイ。
いつもなら腹が立つ言葉が今は菓子のように甘く響く。

「と、留三郎のばかたれ!!大、大、大っ嫌いじゃああああ!!」

そう言って虎のような速さで逃げていく文次郎。

文次郎からの告白なんてそうそう聞けないからな。
追いかけて、耳にタコができるまで愛を叫んでもらおう。
そして今日が終わったら、この身をもって愛を証明してあげるからな。

文次郎、俺も大嫌い。




な、なんじゃこりゃ。
やっぱり慣れないことはしないほうがいいですね…。

反省しきりでございます。

2013/04/01 23:15





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