もう会わせる顔が
おしゃぶりの呪文




「もーんにろぉー」

猫の留三郎は忍術学園の庭を歩いていた。
彼の大好きな猫の文次郎を探しながら。

「あ」

彼は立ち止まり、小さく驚きの声を漏らした。
なぜならお目当ての猫の文次郎が居たからである。
彼は猫の文次郎に駆け寄った。

「もんに…、ろ?」

しかし猫の文次郎は木の下で寝ていた。
小さく丸まり、寝息をはくたび肩がかすかに揺れる。

「もんにろぉー?」

先ほどより小さな声をかけて起こそうとしたが、猫の文次郎は起きそうにない。
それどころか、

「むゅ…」

と寝ぼけて猫の留三郎の手をつかんだ。
そして彼の指先をおいしそうにしゃぶったのだ。

「……」

猫の留三郎は嫌がることもせずにそのまま猫の文次郎に自分の指をしゃぶらせる。

ずいぶん、前。
まだ忍術学園にくる、もっともっと前のこと。
今よりさらに小さな猫の文次郎は暗やみを恐がって寝られなかった。
猫の留三郎がそばにいても、目を閉じなかった。
でも、ある夜。
たまたま猫の留三郎が面白半分で猫の文次郎の口に指を突っ込んだのだ。

その時、猫の文次郎は言った。

「とめのゆび、あったかくておいしー」

そう嬉しそうに言ってしゃぶりついた。
猫の留三郎はいやだったけど、だんだんと微睡んでいく小さな猫に和んで拒絶しなかった。

それから幾年がたち、猫の文次郎は暗やみを恐がらなくなった。
でも、今でも寝るときに誰かの指をしゃぶる。



「………とめ?」
「おはよ、もんにろ」
「あ、」

夕方になって、ようやく猫の文次郎は起きた。
しかし自分の口の近くにある、唾液まみれの猫の留三郎の指を見て、一瞬だけ固まる。

「? もんにろ?」
「…やっぱり」
「やっぱり?」

「とめのゆびが一番すきっ」

そう言って、また彼の指にしゃぶりついた。


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はい、やまなしおちなしいみなしの極みです。
なにこれ(´・ω・)シラン

でも電車に乗りながら思いついたネタで…まぁ、うん。
反省しています…。
おしゃぶりしてると何故かとても愛くるしく見えるのはきっと私だけじゃないはず…!←

2013/05/26 22:52





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